倉庫にAMRを導入する効果とは?AGV・GTPとの違いや押さえたいポイント | 搬送ロボットガイド
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倉庫にAMRを導入する効果とは?AGV・GTPとの違いや押さえたいポイント
公開:2023.11.30 更新:2024.10.08
AMRのようなロボットの導入により倉庫業務での労働力不足を解消したいとお考えの方もいるのではないでしょうか。自動搬送システムを倉庫業務に導入することにより、生産性向上や人的コストの削減など多くの利点があります。
倉庫業務における自動搬送システムの導入が増加しており、これは企業にとって労働力不足への対処や作業効率の向上に向けた重要な取り組みとなっています。この自動搬送システムにはさまざまな種類のロボットが活用されており、その中でもAGV、GTP、AMRなどが主要な存在として挙げられます。それぞれが異なる特徴や用途を持っており、倉庫業務における役割が異なります。
目次
倉庫に自動システムを導入!AGV・GTP・AMRの違いを押さえる
AGV
AGVとは、「Automatic Guided Vehicle」を省略した名称になります。日本語にすると無人搬送車もしくは無人搬送機という意味合いになります。
AGVは、最も初期タイプの無人搬送機で、床に設置された磁気テープやレールによって誘導されます。そのため床に設置されたラインだけを搬送するというのが大きな特徴になります。
GTP
GTPは「Goods To Person」を省略した名称になります。日本語にすると、棚搬送型ロボットや棚流動型ロボットという意味合いです。
GTPは、最大手の通販会社アマゾンや佐川急便などでも採用されており、倉庫内で商品や荷物のピッキング業務を自動化します。その上、出荷する商品や荷物を棚ごとロボットが運んでくれるので、毎回台車に積み替える必要がなくなり、出荷作業の効率化が図れます。
AMR
AMRは「Autonomous Mobile Robot」の略語で、自律走行搬送ロボットとも呼ばれます。協働型の名の通り、これらのロボットは人間と協力して搬送業務を遂行します。
特に物流センターにおけるピッキング業務では、商品をラックから取り出し、それをAMRに載せる作業は人が担当し、その後のピッキング対象商品の場所や梱包エリアへの搬送はAMRが自動的に実施します。
倉庫におけるAMR導入の効果とは?実際の活用イメージを事例で紹介
生産性の向上
ピッキングから梱包まで一人の作業者が担当していた場合、AMRに運搬を委ねることで無駄な移動時間を削減し、作業フローをより詳細に分割できます。ピッキング、検品、梱包などの作業を担当者ごとに分けることで、作業の合理化が可能であり、これが生産性の向上につながります。
また、新しい作業者を採用する際には、新人教育に時間がかかります。商品や取引先によっては異なる出荷ルールが存在するため、慣れた作業者であっても細かいルールを覚えるのが難しい場合があります。倉庫の自動化が進むことで、手順を覚える必要がなくなります。AMRやその他の物流ロボットは、比較的迅速に操作を習得できる利点があり、これにより新人教育の時間だけでなく、全体の作業効率が向上します。
人的コストの削減
AMRを導入することで、商品や荷物を移動させる作業が合理的かつ効率化します。それと同時にAMRを導入しないと、人が台車に荷物を積みながら、行き来する回数や距離が増えるのでその分人件費がかかります。
AMRを導入すると、人が荷物を運ぶ回数や距離が減るので少人数化が可能になります。結果的には、人件費の削減や少人数化といった人的コスト削減にもつながります。
倉庫でのAMR導入には注意点もある!押さえるべきポイント
AMR通行スペースの確保
倉庫でのAMR導入に際して、たとえカメラやセンサーで人や障害物を避けることができるとはいっても、障害物が少ないに越したことはありません。障害物が多いほど、AMRの作業効率が悪くなります。AMRの通行スペースを確保するということも大切です。
導入コストと効果の検証
AMRを導入する際には、AMRロボット本体の購入だけでなくWMSと呼ばれる倉庫管理のソフトウェアやAMRを運行管理するためソフトウェアなど、総合的なシステム構築が必要です。
もちろんシステムの構築だけでなく、それに伴うコストがどのくらいになるのかといった予算の見積もりも必要になります。また精密なロボットであればあるほど、故障やバグ修正などの費用が発生するリスクも想定しておく必要があります。
実際に導入がスタートしたら、導入前と導入後における効果の検証も必要です。効果の検証をすれば、導入や維持に必要なコストがどのくらいの期間で回収できるかどうかも推測することが可能です。
安全対策が不可欠
AMRの導入時に意外と見落としやすいのが、安全対策です。最も気を付けないといけないのは、AMRと作業者とが作業中に接触してケガをしたときのことを事前に想定しておくこと。もちろんそうしたリスクは想定内のことなので、AMRには人や障害物に接触した際に非常停止するといったセンサーが装備されています。
非常停止用センサーだけでなく、倉庫内で過剰に速度が上がらないようにするための速度制御機能も必要です。こうした安全面でのセンサー類は、できる限りにおいてフル装備しておくことが望ましいといえます。
場合によっては、古くから製造工場などで採用されている危険の度合いや労災が発生しそうなケースを洗い出すリスクアセスメントを実施するとよいでしょう。
近年、多くの企業が労働力不足に直面しており、倉庫業界も同様です。この問題に対処するために、自動搬送ロボットが開発されています。主な種類として、AGV(無人搬送車)、GTP(棚搬送型ロボット)、AMR(自律走行搬送ロボット)があります。
AMRの導入には生産性向上、人的コスト削減、効率的な作業プロセスが含まれます。AMRは効果的に商品を運搬し、作業員の移動距離を減少させ、作業ミスを減少させ、作業効率を向上させます。
導入に際しては、AMR通行スペースの確保、導入コストと効果の検証、安全対策が重要です。障害物の少ない通行スペースを確保し、導入コストと効果を検証し、安全対策を充実させることが成功の鍵です。
