AMRのマッピングとは?SLAM・LiDAR・Visual SLAMの違いと選び方 | AMR(自律走行搬送ロボット)
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AMRのマッピングとは?SLAM・LiDAR・Visual SLAMの違いと選び方
公開:2024.06.27 更新:2026.07.28
SLAM技術はロボットがセンサーを使って環境情報を収集し、自己位置推定と地図作成を同時に行い、効率的な移動を実現します。Visual SLAMは低コストで屋内で使用可能ですが、光に敏感です。一方、LiDAR SLAMは高精度な距離測定が可能で、屋内外の複雑な環境に適していますが、コストが高いです。適切なセンサー選択が技術の応用範囲を広げます。
目次
AMRのマッピングを支えるSLAMとは?

AMR(自律走行搬送ロボット)が床面のガイドテープなしで自由に走行できるのは、周囲の環境を正しく認識し、自分自身の現在地を正確に把握しているためです。
この高度なナビゲーションを裏側で支えているのが、「SLAM(スラム)」と呼ばれるマッピング技術です。
◇SLAMは自己位置推定と地図作成を同時に行う技術

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、ロボットに搭載されたセンサから得た情報をもとに、周囲の「地図作成(Mapping)」と、その地図上における「自己位置推定(Localization)」を同時に実行する技術のことです。
AMRは、レーザースキャナ(LiDAR)やカメラを用いて周囲の壁や障害物までの距離を計測し、リアルタイムで現場のマップを構築します。
それと同時に、車輪の回転数やセンサの情報を照らし合わせながら、「自分が今、地図上のどこにいるのか」を計算し続けます。
これにより、事前に詳細なルートをプログラミングしなくても、ロボット自身が環境を把握して自律的に走行できるようになります。
◇AMRの安定走行にマッピングが重要な理由

実際の工場や倉庫の現場は、常に状況が変化する動的な環境です。作業者が歩き回り、フォークリフトが行き交い、パレットや荷物の配置も日々の業務の中で頻繁に変わります。
このような複雑な環境下でAMRが安全かつ正確に目的地へたどり着くためには、SLAMによる高精度なマッピングが欠かせません。
常に周囲の状況をスキャンして地図と照合することで、予期せぬ障害物や人が飛び出してきた際にも即座に検知し、衝突を回避しながら迂回ルートを再計算して安定した走行を続けることができます。
◇掃除ロボットにも使われる身近な技術

産業用の最先端技術というイメージを持たれがちなSLAMですが、実は私たちの生活にもすでに浸透しています。
その代表的な例が、家庭で普及している高機能なロボット掃除機です。部屋の形や家具の配置を読み取って間取り図を作り、自分がどこを掃除したのかを把握しながら効率よく動き回る仕組みは、AMRのシステムと基本的には同じです。
このように、SLAMは身近な生活家電から産業用の搬送ロボットまで、機器の「自律移動」を根底で支える極めて重要な技術として幅広く活用されています。
Visual SLAMとLiDAR SLAMの違い

AMR(自律走行搬送ロボット)に搭載されるSLAM技術には、周囲の環境を認識するために用いるセンサの種類によっていくつかの方式が存在します。その中でも代表的なものが、「Visual SLAM」と「LiDAR SLAM」の2つです。
どちらの方式を選択するかによって、搬送ロボットが性能を発揮できる走行環境や導入コストが大きく変わります。自社の現場環境に最適なシステムを選定するためにも、それぞれの仕組みや特徴の違いを正しく把握しておきましょう。
◇Visual SLAMとは

Visual SLAMとは、ロボットに搭載した単眼カメラやステレオカメラの「画像情報」を活用して、位置特定と地図作成を行う方式です。
人間が目で見ている景色と同じように、カメラ画像から特徴的な角や模様、物体の輪郭などを抽出し、それらの位置関係を計算することで自分の現在地を特定します。
カメラはセンサ自体の価格が安価なためシステムの導入コストを抑えやすい点や、物体の色や文字情報まで認識できるためAI技術と連携させやすい点が大きな特徴です。
◇LiDAR SLAMとは

LiDAR SLAMとは、レーザースキャナ(LiDAR)から全方位にレーザー光を照射し、反射して戻ってくるまでの時間から「周囲との距離」をミリ単位で計測して地図を作成する方式です。
対象物までの距離情報を高精度な点群データとして立体的に取得するため、極めて正確な自己位置推定が可能となります。
暗闇や直射日光などの光の環境変化に強く、非常に高い走行精度を維持できることから、現在の産業用AMRにおいて最も広く普及している標準的な技術となっています。
◇AMRの現場環境によって向き不向きが変わる

Visual SLAMとLiDAR SLAMは、どちらか一方が絶対的に優れているというわけではなく、設置・走行させる現場の環境条件によって最適な選択肢が異なります。
| 現場環境の条件 | Visual SLAM | LiDAR SLAM | 選定の考え方 |
| 照明・照度の変化 | 弱 | 強 | 夜間消灯する倉庫や光の入り込む窓際では、光の影響を受けないLiDAR SLAMが適しています。 |
| 透明物・鏡・反射物 | 強 | 弱 | ガラス壁や鏡面、アクリル板が多い現場では、レーザーが透過・乱反射しないVisual SLAMが有利です。 |
| 粉塵・水蒸気 | 弱 | 強 | 粉塵や水蒸気が舞う過酷な工場では、カメラレンズの汚れに左右されにくいLiDAR SLAMが安定します。 |
| 特徴物(目印)の多さ | 強 | 弱 | 変化のない真っ白な長廊下などではLiDAR SLAM、ポスターや棚など視覚的な特徴が多い場所ではVisual SLAMが得意とします。 |
このように、照明条件、設置されている素材、空気中の粉塵、周囲の目印の有無といった現場条件を詳細に洗い出すことが重要です。
使用する環境の特性を踏まえ、適したSLAM方式を搭載したAMRを選定することが導入成功への鍵となります。
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LiDARセンサーを活用したSLAMのメリットとデメリット

SLAMの技術の中でも、LiDAR SLAMはレーザーセンサーを使用する方式であり、レーザー光を使って物体との距離を測定し、環境の詳細な3Dマップを生成する技術です。
◇LiDAR SLAMとは

LiDAR SLAMとは、LiDARセンサーを使って取得したデータをもとに、ロボットの位置を特定しながら環境の地図を作成する技術です。LiDARセンサーは周囲にレーザー光を発射し、反射して戻ってくるまでの時間を測定することで、物体との距離を計算します。この距離データを利用して、ロボットは周囲の環境を高精度にマッピングします。
LiDAR SLAMは、特に屋内外の複雑な環境での高精度な地図作成と位置特定が必要なアプリケーションで広く使われています。
◇LiDAR SLAMのメリット・デメリット
LiDAR SLAMの主な利点は、高精度な3Dマッピングができることです。LiDARは正確な距離測定が可能で、微細な障害物や地形の変化をきちんと検知して避けることができます。また、一度に広範囲のデータを取得できるため、大きな環境でも効率よく地図を作成できます。
さらに、光の条件に影響されず安定して動作し、暗い場所や強い反射のある場所でも使えます。ただし、高価なLiDARセンサーが必要で、屋外では気象条件や反射面の影響を受けることが欠点です。
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AMRのマッピング方式を比較

AMR(自律走行搬送ロボット)を現場に導入する際は、設置場所の環境や要求される走行精度に応じて適切なマッピング・走行方式を選択することが大切です。
自律走行を支えるSLAM技術だけでなく、ランドマーク(目印)を活用した補足方式を含め、それぞれの特徴や向いている環境について正しく把握しておきましょう。
AMRのマッピング・走行方式比較
まずは、代表的な3つの方式について主な特徴や適した環境、注意点を比較表で整理してご紹介します。
| 方式 | 特徴 | 向いている環境 | 注意点 |
| LiDAR SLAM | レーザー光を照射して周囲との距離を精密に計測します。 | 柱や棚などの構造物が多い工場や倉庫全般 | ガラスや鏡などの反射物、レイアウトの劇的な変化に注意が必要です。 |
| Visual SLAM | カメラ画像から特徴点を抽出して位置を推定します。 | ポスターや多様な棚など視覚的な目印が多い環境 | 照明の明暗変化やカメラレンズの汚れ・埃に注意が必要です。 |
| マーカー・テープ併用 | 2次元コードや磁気テープなどの目印を使って走行を補助します。 | 走行ルートを確実に固定・安定させたい現場 | レイアウト変更時に目印の再貼り付けやルート再設計が必要です。 |
◇LiDAR SLAM

LiDAR SLAMは、レーザースキャナを用いて周囲の壁や柱、設備までの距離を計測し、高精度な地図作成と自己位置推定を同時に行う方式です。
照射した光の反射を利用するため、夜間で照明が落ちる倉庫や暗所であっても影響を受けずに安定した自律走行を行えます。
多くの製造工場や物流倉庫で最も標準的に採用されている信頼性の高い方式ですが、ガラスなどの透明な壁面や鏡面仕上げのステンレス板など、レーザーが透過・乱反射する素材が多い場所では誤認識を起こす可能性があるため設置環境の確認が必要です。
◇Visual SLAM

Visual SLAMは、車体に搭載したカメラで撮影した映像から特徴的な構造や模様を検知し、画像処理によって位置情報を特定する方式です。
センサとなるカメラ本体が比較的安価なためシステムの導入コストを抑えやすく、看板の文字や物体の色などをAIと連携させて認識できる強みがあります。
棚の配置や壁面のデザインなど視覚的な特徴が多い空間で高い効果を発揮する一方で、時間帯による照明の明暗差が激しい場所や、真っ白で模様のない壁が長く続く廊下などでは位置を見失いやすくなるため配慮が必要です。
◇マーカー・テープ併用方式

マーカー・テープ併用方式は、SLAMによる自律走行をベースとしながら、床面に配置した2次元コード(QRコード等)や磁気テープなどの目印を読み取って走行を補助する複合型の方式です。
完全な自律走行ではわずかな位置ズレが発生しやすい工程間での精密な停止や、狭い通路での確実な直線走行を実現したい場合に威力を発揮します。
ガイドレス走行の柔軟性と誘導方式の確実性を兼ね備えている点がメリットですが、床面の目印が摩耗した際の張り替え作業や、搬送ルート変更時に目印を再設計・再配置する手間が発生する点に留意する必要があります。
現場別に見るAMRマッピング方式の選び方

AMR(自律走行搬送ロボット)の導入において、「どのマッピング方式が絶対に一番優れている」という単一の正解は存在しません。設置する現場の構造、作業環境、運用方法によって適した方式は大きく変化するためです。
走行エラーや導入後のトラブルを防ぐためには、自社の現場特性を正確に把握し、その環境と相性の良いマッピング方式を選定することが大切です。ここでは、代表的な現場環境ごとに確認しておくべきポイントと選定の考え方を解説します。
◇倉庫・物流センターで確認したいポイント

天井が高く広大な敷地を持つ倉庫や物流センターでは、棚の配置だけでなく、時間帯による「景観の変化」や「荷物の動き」がマッピング精度に大きく影響します。
- 固定構造物の位置関係と天井の高さ
大型の固定ラックや壁、強固な柱など、長期的に位置が変わらない構造物が多い環境では、レーザーで周囲の形状を認識する「LiDAR SLAM」が非常に高い安定性を発揮します。
ただし、ラックの背が高すぎてセンサの走査位置(高さ)に構造物が映らない場合や、広大な空間で周囲に反射対象が何もない「開けたエリア」では位置を見失う恐れがあるため、センサの配置高さや検知範囲の精査が必要です。 - 保管荷物の増減や荷姿の変動
季節の繁忙期や時間帯によって保管荷物の高さや配置が激しく変動する保管エリアでは、一時的に周囲の景観が一変するため、作成した地図データと実際の状況にギャップが生じやすくなります。
こうした荷物の出入りが激しい現場では、環境変化の影響を受けにくい「Visual SLAM」を併用するか、天井や床面に配置した2次元コードを読み取る「マーカー併用方式」を導入することで、荷物の増減に左右されない安定した走行ルートを確保できます。
◇製造現場で確認したいポイント

工作機械や組み立てラインが複雑に入り組む製造現場では、スペースの制限に加え、作業環境特有の浮遊物や人・搬送機器の複雑な動線を考慮する必要があります。
- 油煙・粉塵などの作業環境への対策
金属加工現場での切削油ミストや水蒸気、木工・樹脂加工での粉塵が舞う環境では、カメラのレンズ部分に汚れが付着しやすく、「Visual SLAM」の画像認識精度が短時間で低下してしまうリスクがあります。
そのため、光の透過やレンズの微細な汚れに比較的強く、耐久性に優れた「LiDAR SLAM」を選択するのが一般的です。定期的なメンテナンス性も含めてセンサの方式を検討することが大切です。 - 通路幅と精密な位置決めの要求
人やフォークリフト、台車が行き交う狭い通路では、すれ違い時の安全マージンを確保しつつ自律走行を行う走行精度が求められます。
特に加工機への自動着脱やコンベアへのワーク供給など、ミリ単位での精密な停止位置精度が求められる工程では、通常のSLAM走行だけでは位置誤差を吸収しきれない場合があります。
こうした現場では、目標地点の手前まではSLAMで自律走行し、最終的なアプローチ時のみ床面の磁気テープや2次元コード、あるいはビジョン位置補正を組み合わせる複合型の走行制御が極めて有効です。
◇照度変化・反射物・レイアウト変更が多い現場の注意点

特殊な現場条件や運用上の変更頻度が高い環境では、各マッピング方式の弱点が表面化しやすいため注意が必要です。
| 現場の特殊条件 | 起こりやすい課題 | 推奨される対策・方式の選び方 |
| 照度変化がある現場(夜間消灯・直射日光) | 暗所や逆光によりカメラ画像が潰れ、位置を見失います。 | 光の影響を受けない「LiDAR SLAM」の選択や、車体への補助照明の設置が有効です。 |
| 金属・ガラス・鏡など反射物が多い現場 | レーザー光が乱反射・透過し、壁や障害物を誤認識します。 | 反射に強い「Visual SLAM」の採用や、反射面に光を散乱させるシートを貼る対策が必要です。 |
| レイアウト変更が頻繁な現場 | 周囲の景観が一変し、作成した地図データと乖離します。 | リアルタイムで地図更新を行うSLAM技術を選択するか、マップの再描画作業が容易なシステムを選ぶことが重要です。 |
このように、走行させる環境の「光」「素材」「環境変化」を多角的に検証し、デメリットを補えるマッピング方式を選ぶことが導入成功への近道となります。
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まとめ

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術は、自動走行車やロボットが未知の環境で効率的に移動するための重要な技術です。この技術では、ロボットがセンサー(レーザーセンサー、カメラ、超音波センサーなど)を使って環境情報を収集し、自己位置推定と同時に地図を作成します。これにより、リアルタイムで最適な移動経路を計画し、障害物を避けながら効率的に目的地に到達します。
例えば、掃除ロボットは部屋のレイアウトを正確に把握し、家具の周りを巧みに掃除します。さらに、バッテリーが低下すると自動的に充電ステーションに戻り、稼働時間を最大化します。
SLAMの一種であるVisual SLAMは、カメラで撮影した画像を用いて特徴点を追跡し、環境の3Dマップを生成します。この手法は比較的低コストで運用可能であり、屋内でのロボット活動に最適です。一方、LiDAR SLAMは高精度な距離測定が可能で、屋内外の複雑な環境での使用に向いていますが、高価です。
適切なセンサーの選択はSLAMの成功に不可欠であり、使用環境や精度要件、コストを考慮して決定されます。これにより、ロボットの自律移動性能が最大化され、さまざまな産業や家庭での応用が拡大しています。
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