AGV、中国3C業界でトップシェアのスタンダードロボットについて解説 | 搬送ロボットガイド
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AGV、中国3C業界でトップシェアのスタンダードロボットについて解説
公開:2023.09.27 更新:2023.09.27国内外のAGV・AMR業界では数々の優れたメーカーが競争を繰り広げていますが、中でもスタンダードロボット社は、中国の3C業界でトップシェアを持っています。日本国内でも導入企業が45社を超えており、その実績からも国内での評価も高いメーカーであると言えます。
この記事では、スタンダードロボットがどのような会社であるのか、その製品やトップシェアを獲得するまでの経緯、さらに国内での導入事例について詳しく解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
スタンダードロボットはどんな会社?
中国を拠点とするスタンダードロボット社は、工業用移動ロボットのトップメーカーとして知られています。その主要な強みは、自ら開発した先進的なSLAMポジショニング、ビーコンポジショニング、および慣性航法技術にあります。これらの技術は、ロボットが自らの位置を認識し、目的地へと精確に移動する際に欠かせません。
スタンダードロボット社は、マッピングアルゴリズム、オペレーティングシステムをはじめとする、ロボットの中核技術を全て自社で研究・開発しています。製品の製造からシステムの構築まで、一貫したサービスを提供している点も特筆されます。特に、製造工場内の材料の移動や完成品の入出庫など、搬送技術のニーズが高いエリアでその技術が評価されています。
スタンダードロボット社の製品は、ドイツが推進する第4次産業革命、通称インダストリー4.0の理念に基づき設計されています。そのため、製品は大量生産現場でも高いカスタマイズ性を持ち、効率的に運用することができます。さらに、自社開発のFMSを使用して、多くのロボットを同時にスムーズに運用することも可能です。
また、スタンダードロボット社は、Foxconn、DJI、HUAWEI、TOYOTAなど、大手企業の製造現場での採用実績があり、国際的に高く評価されています。国内だけでも45社以上がこの技術を採用しており、世界中で6000台以上のロボットが稼働しています。独自の技術特許も豊富に保有しており、中でも多くが国際特許として認知されています。研究開発チームはスタッフの半数以上を占め、その成果は世界トップレベルの制御アルゴリズムとして知られています。
スタンダードロボットの製品について
スタンダードロボットは、高精度な自動搬送ロボットのリーディングメーカーとして、優れた性能を持つ製品を数多く提供しています。以下に、すべての製品に共通する主な特徴を解説します。
まず、独自の制御アルゴリズムを採用したコントローラーにより、停止精度として±5㎜を達成しています。そして、QRコードを利用することで2mmまでの精度を確保しています。大規模なエリアのマッピングも手間なく迅速に行え、変わらない環境下では、常に正確な位置情報を保持して効率的に動作します。
これらのロボット同士は連携してコミュニケーションを取り合い、最も効率的な動きを計算して動作します。さらに、外部の機器やシステムとの連携も容易に行えます。特に注目すべきは、様々な温度環境下での動作能力や、ロボットの健康状態をリアルタイムで監視する機能です。
通信技術の面でも進化を遂げており、5G技術に完全対応しています。また、安全性を最優先とし、突発的な状況や予期せぬ障害にも迅速に対応する設計となっています。
次に製品の詳細な特徴について、スタンダード社のメイン製品であるOasisシリーズとGulfシリーズを取り上げて解説します。
Oasisシリーズ
Oasisシリーズは、可搬重量別に300kg、600kg、1000kgの3タイプが存在し、、日本の製造工場をはじめ、多くの場所での導入が進められています。このシリーズの特徴的なポイントは、ドイツP&F社製の高機能Lidarを搭載している点です。
これを採用することで、±5㎜という高精度な位置決めが可能になっています。さらに、前後に配置された2つのLidarは、半径40Mの範囲で360°を常時スキャンする能力を持っています。加えて、3DカメラやTOFセンサーの導入により、周囲の環境を三次元的に捉えることができ、これがOasisシリーズの非常に高い安全性を保証しています。これらの高度な技術仕様により、Oasisシリーズは業界内で大きな注目を浴びています。
Gulfシリーズ
Gulfシリーズは、先進の自動運転技術を結集した製品群で、スタッカー式自動運転フォークリフト、カウンターバランス式自動運転フォークリフト、そして自動運転リーチ式牽引車をラインナップしています。
スタッカー式自動運転フォークリフトGulf-MSL14をピックアップして解説します。このモデルは、最大1.4トンの荷物を運ぶことができ、フォークの上下移動距離は基本の1600mmから、オプションで3000mmまで対応可能です。2段構造のフォーク爪を持ちながら、本体重量は軽量な900kgで、その設計は非常にスリム。最小通路幅がわずか1600mmというのも大きな特徴です。
電気回路の最新設計により、省エネと持続的な動作が実現されています。そして、スタンダードロボットの他の製品と同様に、高度な自動運転アルゴリズムが採用されています。このモデルは360°の場所で回転可能であり、走行方向の停止誤差は極めて精度が高い±15㎜を誇ります。
また、Gulf-MSL14はOasisシリーズと同じ複数台制御システムFMSでの運用が可能。これにより、異なるモデル間でも同一のシステム上で共同作業をスムーズに行うことができるのです。
スタンダードロボットが選ばれる理由と国内の導入事例
スタンダードロボット社は中国3C業界でのトップシェアを獲得しています。スタンダードロボット社の製品が選ばれる理由は何でしょうか?優れた性能はもちろん大きな理由として挙げられますが、それだけでなく、同社がこれまでに採用してきた独自の戦略や取り組みが大きな要因として挙げられます。ここで、スタンダードロボット社が中国3C業界でトップシェアを獲得するまでの取り組みを紹介します。
中国3C業界でのトップシェア獲得の背景
スタンダードロボットは移動・搬送製品に特化し、LiDARとSLAM技術を中心にナビゲーションシステムの開発に努力してきました。EC倉庫でのAGV需要が増大している中で、3C業界(コンピュータ、通信、家電)でLiDARとSLAM技術を活用したAGVが特に有効と見込み、異なる環境や要求ごとに細やかなプロジェクト対応を行いました。
この取り組みが評価され、3C業界内での評判が向上し、2019年には前年度比で5倍の売り上げを記録しました。その後も、製品の品質向上、サービスの充実、そしてサポート体制の強化により、品質の一貫性と顧客対応の迅速性を確保。その結果、中国3C業界でのトップシェアを獲得することができました。
国内でのOasis導入事例
物流施設「プラネット埼玉」のOasis600C導入事例について解説します。
導入の目的
従来、搬送業務の自動化は難しく見られてきましたが、その自動化を実現することで、業務の流れが円滑に進行し、リードタイムの短縮が期待されています。『Oasis』の導入の主な目的は、垂直搬送機との連携を通じたタテ搬送の自動化や、出荷エリアのパレタイズロボットとの連携による出荷までの搬送の全自動化を実現することにあります。
Oasisによる変革とその活用法
物流施設内での搬送は、コンベアを使用しないルートでは従来人の手によって実施されていました。しかし、『Oasis 600C』の登場によって、これらの作業における負担が大幅に軽減され、人件費の節約や作業効率のアップが見込まれています。障害物を自動的に避ける機能や、ガイドの設置不要という特色は、搬送作業の運用において新たな柔軟性をもたらしています。
Oasisの導入前と導入後の比較
『Oasis』が導入される前、入荷や格納、出荷といった搬送工程は、大部分が人の手で行われていました。しかし、『Oasis』の導入後には、工程間の搬送作業にかかる時間や人材の必要性が低下し、商品の各フロアでの滞在時間を短縮。更に、出荷エリアへの搬送までの過程が全面的に自動化されています。
スタンダードロボット社の概要、取り組み、および製品の特徴について詳しく解説しました。AGVやAMRは人と協働するロボットという特徴を持つ為、エンドユーザーにとって使いやすく、同時に効率的かつ安全に作業を行えるかどうかは非常に重要な要素となります。
スタンダードロボット社の成功の背景には、この特性を深く理解し、環境やニーズに合わせた製品の開発と充実したサポートが行われていることが挙げられます。スタンダードロボット社の製品や取り組みについて知ることは、AGV・AMR業界の更なる発展へと繋がるでしょう。
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