WCS倉庫制御システムとAMRの連携による物流の進化とは? | 搬送ロボットガイド
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WCS倉庫制御システムとAMRの連携による物流の進化とは?
公開:2024.07.24 更新:2025.03.27
WMSは倉庫内の在庫や原料を正確に管理し、作業効率と精度を向上させます。WESは運用と制御を行い、作業員に指示を出して効率化を図ります。WCSはAMRなどの設備をリアルタイムで監視・制御し、故障やトラブルにも対応します。これらのシステムは入出庫、保管、仕分け作業の効率化を進め、AMRは自動化と在庫管理の精度向上に貢献します。
目次
従業員を管理するWMSとWESとは?
WMS(Warehouse Management System)は在庫管理を正確に行い、人的ミスを減少させ、作業効率を向上させます。WES(Warehouse Execution System)は倉庫の管理と制御を行い、ウェアラブル端末で作業員に指示を出して効率化します。
◇在庫管理などを行うWMS
WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内の原料や製品、在庫を効率的かつ正確に管理するためのシステムです。主に、在庫の出入りや保管状況の確認、入荷・出荷作業のサポートなどを行います。
これにより、倉庫業務のミスを減少させ、業務の効率化を実現することができます。WMSを導入することで、在庫の管理がリアルタイムで行われ、手作業による誤差を最小限に抑えることが可能となります。
WMSを使用することで、倉庫内でのアイテムの数量や出入りを把握し、より精度の高い在庫管理ができます。例えば、商品の受け取り時にバーコードやRFID(無線周波数識別)タグをスキャンすることで、入庫されたアイテムが自動的にシステムに登録されます。
これにより、作業員が手動で記録する手間を省き、エラーの発生を抑えることができます。
また、WMSでは管理する項目がアイテムごとに異なるため、商品の特性に応じた管理が可能です。たとえば、一般的な在庫管理では、商品の保管場所、入荷日、数量などを確認できます。
さらに、食品業界などでは消費期限の管理が重要なため、消費期限やロット番号を管理できる機能が組み込まれています。アパレル業界では、商品のサイズやカラー、デザインごとに在庫の管理が必要となるため、それに対応した詳細な管理機能が求められます。
このように、WMSは業種や商品に応じた柔軟な在庫管理を提供し、運用の効率化をサポートします。
さらに、WMSはリアルタイムでデータを更新するため、在庫の過不足を即座に把握できます。これにより、需要の予測をより正確に行うことができ、適切な在庫の調整や発注が可能となります。
◇作業管理などを行うWES
WES(Warehouse Execution System)は、倉庫の運営を最適化するためのシステムで、倉庫管理と倉庫制御を組み合わせた高度な機能を提供します。WESは、倉庫内の在庫や設備の管理だけでなく、作業員への指示出し、作業フローの最適化も行います。このシステムは、倉庫の作業をより効率的に進めるための重要な役割を果たします。
WESでは、倉庫内での物流作業を効率的に進めるために、ウェアラブル端末や音声端末を活用した指示出し機能が搭載されていることが特徴です。
これにより、作業員は手元の端末を通じて、次に行うべき作業を音声や画面で指示されます。作業指示がリアルタイムで送信され、作業員はその指示に従って作業を進めることができます。この仕組みにより、作業員は無駄なく、確実に指示された作業を行うことができ、作業ミスを減少させ、効率的な作業が実現されます。
さらに、WESは倉庫内の設備、例えば自動化された棚や搬送システムと連携して動作します。これにより、作業員の負担を軽減するとともに、設備の稼働状況を監視し、最適なタイミングで作業を実施できます。
また、WESは在庫の移動や出荷指示を管理し、必要な作業を自動的に割り振ることができます。これにより、作業の遅延や混乱を防ぎ、業務の効率を最大化することができます。
WESはWMSと連携して動作することが一般的で、在庫管理や倉庫内の作業フローを一貫して管理することができます。このように、WESは倉庫の運用効率を向上させるために、重要な役割を果たしており、特に大規模な倉庫や物流センターにおいてその効果を発揮します。
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AMRなど設備を制御するWCS
WCS(Warehouse Control System)は、AMRなどの設備をリアルタイムで監視・制御し、状況に応じて指示を出します。倉庫内のマテハン機器やIoT機器に特化しており、作業員の管理機能はありません。
◇設備を制御するWCS
WCS(Warehouse Control System)は、倉庫制御システムとも呼ばれ、倉庫内で使用される各種設備を監視・制御するためのシステムです。WCSの主な役割は、倉庫内で稼働するマテリアルハンドリング(マテハン)機器や自動化設備を効率的に運用することにあります。
具体的には、コンベア、オートメーション搬送システム(AGV)、ロボットアーム、ピッキングロボットなど、物流を支えるさまざまな機器を対象としています。これにより、倉庫内の作業の流れをスムーズにし、作業効率や生産性を向上させることが可能になります。
WCSは、物品の搬送やピッキング、棚の配置換えなどの作業を担当する設備を、リアルタイムで監視し制御します。
例えば、物品の搬送を行うコンベアが正常に動作しているか、AGV(自律移動ロボット)が指定の経路を通過しているか、ロボットアームが正確にアイテムをピックアップしているかなどを監視します。このように、WCSは倉庫内の設備全体を管理し、効率的かつ安全に運用されるようにコントロールします。
また、WCSはWMSやWESとは異なり、作業員の管理機能は備えていません。WMSやWESは作業員の作業指示や進捗管理に重点を置いていますが、WCSはあくまで設備の監視と制御に特化しています。そのため、WCSは、倉庫内での自動化設備の運用を支える重要なシステムとなります。
◇AMRなどをリアルタイムで監視
WCSの最も重要な機能の一つは、AMR(Automated Mobile Robot)などの設備をリアルタイムで監視・制御できる点です。AMRは、倉庫内で自律的に移動して商品を運搬するロボットであり、WCSはその動きを監視し、必要に応じて指示を出すことができます。
これにより、AMRが目的地に正確に到達できるように制御され、作業が効率的に行われます。
WCSは、設備の稼働状況を常に監視し、異常が発生した場合には即座に警告を出すことができるため、設備の故障や予期せぬ事態に迅速に対応できます。
例えば、AMRが障害物に遭遇した場合や、コンベアに不具合が発生した場合、WCSは即座にその状況を検知し、システム上で指示を変更したり、別の経路に切り替えたりすることができます。このようなリアルタイムでの対応により、倉庫内での業務がスムーズに進行し、作業の遅延を最小限に抑えることができます。
さらに、WCSは設備が最適なパフォーマンスを発揮できるように、定期的なメンテナンスや状態監視を行う機能も備えています。これにより、設備の故障やトラブルを事前に防ぎ、長期的な運用の安定性を確保することができます。
一部のWCS製品には、設備が故障した際に自動的にバックアップシステムに切り替える機能や、障害発生時に迅速に対応できる高度なオペレーション機能も組み込まれており、倉庫の運用をさらに安定させることができます。
これらの高度な機能により、WCSは大規模な倉庫や物流センターでも、その効率性と信頼性を高める役割を果たしています。
WCSは、倉庫内の自動化された設備を効果的に制御・監視することで、物流作業の効率化と安定性を支えています。WMSやWESと連携することで、より高度な物流管理が可能となり、全体の作業効率が向上します。
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互いのシステムを連携して運用する
入出庫作業の効率化にはシステム連携が重要です。入庫時に出庫を考慮し、出荷予定のアイテムを適切に保管できます。仕分け作業でもシステム連携が効率向上に寄与します。
◇入出庫と保管
入出庫作業の効率化には、システムとの連携が不可欠です。特に、入庫時には出庫時の取り扱いを考慮した作業が重要です。多くのアイテムが入庫時に出荷指示があるか、すぐに出荷予定のため、保管作業ではシステムとの連携が求められます。
システムと連携していれば、出荷予定のアイテムを取り出しやすい場所に保管できますが、連携が不十分だと、出荷予定のアイテムが取り出しにくい場所に保管される可能性があります。このように、システムとの連携が作業の効率と精度を大きく左右します。
◇仕分け
商品を出荷する際、ひとつの箱に複数の商品を梱包することがありますが、これらの商品がバラバラに仕分けされていると、作業の効率が低下します。そのため、入出庫や保管と同様に、仕分け作業でもシステムとの連携が重要です。
システムを活用することで、商品の効率的な仕分けが可能になり、生産性の向上が期待できます。
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システム連携でデータを蓄積できる利点も
AMR(自律走行搬送ロボット)は作業効率の向上や人手不足の解消に役立ちます。さらに、作業ミスの減少やコスト削減も期待でき、倉庫内の自動化や正確な在庫管理にも有効です。
◇AMRの利点
AMR(Autonomous Mobile Robot)は自律走行搬送ロボットとも呼ばれ、障害物や人を避けながら自動で走行する能力があります。最近では、多くの企業がAMRを導入しており、その理由として作業効率の向上や人手不足の解消が挙げられます。
AMRの導入によって、人手不足を解消し、作業負担を軽減することができると期待されています。また、作業の効率を向上させるとともに、作業ミスも減少させることが可能です。
さらに、AMRを利用することで、人件費や諸経費の削減が実現でき、採用や新人教育にかかるコストも削減されます。
加えて、AMRの導入により倉庫内の自動化が進み、搬送データや作業履歴が蓄積されるため、正確な原価管理や経営改革にも役立ちます。
◇在庫管理にも有効
AMRは商品の搬送に加え、在庫管理にも大変有効です。実際、あるAMRメーカーの広報担当者によると、在庫管理にAMRを導入したいというニーズが増えてきているとのことです。
AMRが自律走行を実現するためには、WCSなどのシステムからの指示に従う必要があります。これにより、どのような商品を、いつ、どこからどこへ、どれだけの数量を運んだのかといった詳細なデータが蓄積されます。
倉庫内には多くの商品が保管されており、これらを正確に管理するのは難しいため、在庫の所在地や数量をデータで正確に管理したい場合には、AMRの技術が非常に有効です。
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◇大喜産業株式会社

大喜産業株式会社は、人とロボットの共存に注力する企業です。協働ロボットを導入することで、製造現場での生産性向上と人員不足の解消を目指しています。多様なロボットソリューションを提供し、顧客に最適な機種選定をサポートしています。
会社名 | 大喜産業株式会社 |
営業本部 | <住所> 〒550-0012 大阪市西区立売堀1-5-9 <電話番号> 06-6541-1987 |
営業本部東京オフィス | <住所> 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア4F <電話番号> 03-5219-1463 |
大阪支店 | <住所> 〒550-0012 大阪市西区立売堀1-5-9 <電話番号> 06-6532-0751 |
東京支店 | <住所> 〒333-0815 埼玉県川口市北原台3-2-21 <電話番号> 048-297-1388 |
東京支店つくばオフィス | <住所> 〒305-0031 茨城県つくば市吾妻1-5-7 ダイワロイネットホテルつくば2F <電話番号> 029-817-4844 |
名古屋支店 | <住所> 〒452-0805 愛知県名古屋市西区市場木町416 <電話番号> 052-505-8201 |
東大阪支店 | <住所> 〒581-0861 大阪府八尾市東町4-1 <電話番号> 072-997-0123 |
京滋支店 | <住所> 〒520-3047 滋賀県栗東市手原3-2-3 <電話番号> 077-553-6155 |
四国支店 | <住所> 〒761-0301 香川県高松市林町2554-1 <電話番号> 087-868-4511 |
九州支店 | <住所> 〒812-0895 福岡県福岡市博多区竹下2-4-7 <電話番号> 092-441-0198 |
公式ホームページ | https://www.daiki-sangyo.co.jp/ |
また、物流や製造工程で活用できる自律移動型ロボット(AMR)やパレタイズシステムも提供し、効率化とコスト削減を実現します。
大喜産業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼MiR社の魅力的なMiR製品とその販売代理店・大喜産業とは
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇ニデック株式会社

ニデックドライブテクノロジー株式会社は、先進的な駆動技術を提供する企業です。AGV(無人搬送車)や精密減速機など、工場や物流システムの効率化を支援する製品を展開しています。特に無人搬送台車「S-CART-Mini」は、80kgの搬送能力を持ち、ガイドレス走行でレイアウト変更にも対応可能な柔軟性を提供します。
会社名 | ニデック株式会社 |
所在地 | 〒601-8205 京都府京都市南区久世殿城町338 |
電話番号 | 075-922-1111 |
公式ホームページ | https://www.nidec.com/jp/ |
この技術により、ユーザーは簡単に操作でき、IoT対応や通信機能(Wi-Fi)も装備されており、業務の効率化と信頼性をサポートします。
ニデック株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼2D-Lidarと3D-Lidarの違いは?進化を遂げたニデックドライブテクノロジーのAMR
◇株式会社ギークプラス

株式会社ギークプラスは、物流業界の課題を解決するロボティクスソリューションを提供する企業です。世界40カ国以上で導入実績があり、倉庫業や工業生産の現場で移動ロボットが活躍しています。4年連続で世界・国内シェアNo.1を獲得し、5年間で約3000台を販売、30%のリピートオーダーを受けています。
会社名 | 株式会社ギークプラス |
所在地 | 〒150-6026 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー26F |
電話番号 | 03-5422-1420 |
公式ホームページ | https://www.geekplus.jp/ |
同社は、最先端の物流ロボット技術とSaaSソリューションを提供し、ピッキング作業の効率化や物流プロセス全体の最適化を実現します。無人搬送車(AGV)や自律型協働ロボット(AMR)などのハードウェアだけでなく、ソフトウェアも一体となって、効率的で効果的なビジネス運営をサポートします。
株式会社ギークプラスについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼ギークプラスの最先端AMR技術が進化させる物流の未来とは?
WMS(Warehouse Management System)は倉庫内の在庫や原料を正確に管理し、作業効率の向上や人的ミスの減少を実現します。アイテムによって管理項目が異なり、食品やアパレル商品などの特定情報も扱えます。
一方、WES(Warehouse Execution System)は倉庫の運用と制御を行い、ウェアラブル端末で作業員に指示を出すことで作業の効率化を図ります。WCS(Warehouse Control System)はAMRなどの設備をリアルタイムで監視・制御し、設備の故障や予期せぬ事態にも対応できる機能を備えています。
これらのシステムは、入出庫や保管、仕分け作業を効率化し、AMRは自動化や正確な在庫管理を進めるための重要な技術です。
