AMRロボット導入の費用や効果とは?費用対効果の高い製品を選択 | 搬送ロボットガイド
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AMRロボット導入の費用や効果とは?費用対効果の高い製品を選択
公開:2024.01.27 更新:2024.10.07
AMR導入には費用と効果が関わり、費用対効果が重要です。導入費用には本体や周辺機器、ランニングコスト、現地立上げ調整費用が含まれます。初期投資が必要ですが、省人化やコスト削減、品質安定化などの効果が期待できます。
目次
AMRロボット導入にかかる費用の種類
AMRは、英語のAutonomous Mobile Robotの略称です。AMRロボットは自律走行搬送ロボットのことで、主に物流倉庫でのピッキング業務に利用されています。AMRロボットを導入する際の費用の主な内訳は、「本体・周辺機器購入」「ランニングコスト」「現地立上げ調整費用」の3つです。
◇本体・周辺機器購入費用
AMRロボットの本体価格はスペックにより大きく異なりため、価格帯は100万~500万円と幅があります。例えば、約350万円のGROUNDの「PEER」のスペックは、以下のとおりです。
積載重量 上限45kg
最高速度 1.2m/秒
通路幅 1.35m
最大勾配 3度
最大段差 3mm
バッテリー 2時間の充電で8時間の稼働が可能
AMR(自動搬送ロボット)の導入には、本体と周辺機器にかかる購入費用がかかります。その他、周辺機器として、トップモジュール、移動式カート、自動充電器、運行管理システムなどが必要です。周辺機器は、使用範囲、設置環境、稼働時間などによって異なります。
・AMR(搬送)ロボット 4台
・トップモジュール(カート牽引機能) 4台
・移動式カート 10台
・自動充電器 1台
・運行管理システム(Fleet) 1台
これらの機器を合計すると、AMR導入にかかる本体と周辺機器の購入費用は、約1,500万円から2,000万円程度となります。ただし、実際のコストは設置環境や要件によって変動するため、詳細な見積もりが必要です。
また、現地立上げ調整費用も考慮に入れる必要がありますが、一部のロボット製品ではこの費用を低く抑えることができます。 AMR導入を検討する際には、予算計画をしっかりと行い、全体のコストを把握することが重要です。
◇ランニングコスト
ランニングコストとは、AMRロボットを運用する際に発生する費用のことです。ランニングコストは、AMRロボットの種類、導入台数、稼働時間によって異なり、故障した際の修理費用も含まれます。
例えば、積載重量の上限45kg、秒速1.3m、価格350万円のAMRロボットを30台導入して、8時間の稼働させた場合の、1年間のランニングコストは1,500万円くらいになります。AMRロボットの導入費用を加えると1億以上必要となるため、ランニングコストを考慮することはとても重要です。
◇現地立上げ調整費用
AMR(自律走行搬送ロボット)を導入する際に、最も大きな費用の一つが現地立ち上げ費用です。AMRを購入しただけでは、そのまま運用することができず、導入環境に合わせて調整と設定が必要です。
AMRの動作を特定の環境に合わせて調整し、必要に応じてソフトウェアの変更を行うための費用や、導入前に現地の環境や設備を詳細に調査し、AMRの配置計画や動作プランを策定するための費用等が必要になります。
これらの費用は一般的にはシステムインテグレーター(SIer)に支払われ、SIerがAMRの導入と調整を担当します。現地立ち上げ費用は導入環境や要件に応じて異なり、大規模なプロジェクトでは1,000万円以上になることもあります。
AMR導入で得られる効果とは?費用対効果が期待できる理由
導入するのに多額の費用が必要となるAMRロボットですが、導入することでさまざま効果が得られます。AMRロボットの導入で期待できる主な効果は、現場作業の省人化、長期的なコスト削減、製品の品質安定化の3つです。
◇現場作業の省人化
AMRは運搬業務を行うロボットなので、AMRを導入すれば運搬業務を行っていた作業員が必要なくなります。AMRは同じスピードで業務をこなせ、24時間稼働させることも可能なので、現場作業の省人化を図るのに大変効果的です。
◇長期的なコスト削減
導入費用がかかってもAMRロボットは長く使えるため、一度導入してしまえば長期的なコスト削減が可能です。具体的に削減できるコストとしては、次のようなものがあります。
人件費
作業員を減らせるため、作業員へ支払う給与だけでなく、新入社員に行う研修や作業着などにかかる費用も削減できます。
採用活動費
AMRは故障しない限り稼働するので、新しい作業員を雇うための採用活動費もかかりません。
◇製品の品質安定化
新入社員は仕事に不慣れなため、ミスを犯しがちです。ベテランの作業員でも、長時間労働を課せられたり、体調が悪かったりすると、集中力が低下しヒューマンエラーが発生しやすくなります。AMRは、人間のように能力や体調などに影響されず、常に同じ作業をこなせるため、製品の品質安定化に重要な役割を果たします。
費用対効果を重視したAMR導入のために
AMRの導入は、効率の向上やコスト削減といった期待に応える可能性を秘めていますが、その実現には計画的なアプローチが必要です。ここでは、AMRの導入前に行うべきシミュレーションに焦点を当て、費用対効果を最大化するための戦略と方法について詳しく解説します。
◇費用対効果を上げるシミュレーション
シミュレーションは協働ロボット導入において非常に重要な要素です。以下で、費用対効果を上げるためにシミュレーションが重要な理由について解説します。
現場作業や導線のイメージの確認
シミュレーションを行うことで、実際の現場作業や導線を仮想的に確認できます。これにより、ロボットがどのように物品をピッキングし、移動するのかをイメージすることができます。これは導入前の理解と信頼を高め、問題の特定や最適化のためのヒントを提供します。
最適な導入台数の算出
シミュレーションによって、必要なロボットの台数を最適化できます。これは初期投資額に直結し、無駄なコストを削減する手助けをします。導入の過程で不足または過剰なロボットの台数を避けるために重要です。
ROI(費用対効果)の検証
シミュレーションを通じて、導入にかかる費用と効果を数値化できます。これにより、協働ロボットの導入がどれだけ効果的か、どれくらいの期間で投資が回収されるかを明確に評価できます。ROIの検証は経営陣への説得に不可欠です。
コスト削減量の予測
シミュレーションによって、ロボット導入によるコスト削減量を予測できます。これには労働力コスト、エラー率の削減、作業時間の短縮などが含まれます。正確なコスト削減の見積もりは、導入の成功に欠かせません。
以上のように、シミュレーションは協働ロボット導入において不可欠なステップであり、費用対効果を最大化し、成功を確実にするために重要です。ロボット導入を検討する際には、事前にシミュレーションを行い、計画的かつ効果的な導入を実現しましょう。
◇シミュレーションで何が確認できる?
シミュレーションにより、協働ロボット(AMR)の導入に関して以下のような重要な点を確認できます。これらのポイントは、実際の物流現場において問題を特定し、最適な戦略を策定するために役立ちます。
作業者とAMRの動作調整
シミュレーションでは、作業者とAMRの動作を調整することが可能です。作業者の動くスピードやAMRの速度などのパラメータを変更することで、最適な作業ペースや協調動作を模倣できます。これにより、実際の作業プロセスとの適合性を確認し、最適な動作設定を見つけることができます。
スペース効率と渋滞対策
シミュレーションにおいて、倉庫や作業スペースの実際のマップを再現し、AMRの移動パスを計算できます。これにより、AMR同士の衝突や渋滞の発生を予測し、最適なレイアウトや作業計画を検討できます。AMRの配置や台数を調整することで、スペース効率を最大化し、生産効率を向上させる方法を見つけることができます。
生産キャパシティの最適化
シミュレーションにより、異なるAMRの台数と作業者の配置の組み合わせを試すことができます。これにより、生産キャパシティがどこで頭打ちになるかを特定できます。最適なAMRの適正台数を見極め、最大の生産効率を実現するために必要なリソースを特定できます。
問題特定と改善策の検討
シミュレーションを通じて、現場での潜在的な問題を特定し、改善策を模索できます。例えば、作業者の待ち時間や無駄な移動距離を削減する方法を見つけることができます。
AMR(自律走行型ロボット)の導入には、費用の種類として「本体・周辺機器購入費用」、ランニングコスト、および「現地立上げ調整費用」の3つがあります。本体価格は仕様によって異なり、周辺機器も必要です。導入費用は約1,500万円から2,000万円程度が一般的です。
AMRの導入には高い初期投資が必要ですが、費用対効果が期待できます。導入による主な効果は「現場作業の省人化」、長期的な「コスト削減」、そして「製品の品質安定化」です。AMRは作業員の置き換えという点で省人化が可能であり、長期的には人件費や採用活動費の削減が期待できます。また、品質安定化も重要な効果であり、ヒューマンエラーを軽減します。
費用対効果を最大化するためには、シミュレーションが不可欠です。シミュレーションによって現場作業や導線を確認し、最適な導入台数を算出し、ROIを検証し、コスト削減量を予測することが可能です。シミュレーションを通じて、費用対効果を重視したAMRの導入を計画的かつ効果的に進めましょう。
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