AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラとは?提供しているメーカーを紹介 | 搬送ロボットガイド
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AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラとは?提供しているメーカーを紹介
公開:2024.03.21 更新:2024.10.07
AMR(自律走行搬送ロボット)用の3Dカメラは、自動移動を可能にする専用カメラで、2022年の市場規模は13億634万米ドルで、2029年までの予測ではCAGR 20.49%で成長して55億1860万米ドルに拡大する見通しです。特にアジア太平洋地域での市場が急成長しており、中国市場がリードしています。
目次
AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラとは?
AMR(自律走行搬送ロボット)用の3Dカメラは、ロボットが周囲の環境を認識し、自律的に移動するために使用される専用カメラのことです。以下では、AMR用3Dカメラの特徴や現在の市場規模について解説します。
AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラの市場規模
自律走行搬送ロボット(AMR)向けの3Dカメラ市場は、2022年の13億634万米ドルから、2029年までの予測期間中に年平均成長率(CAGR)20.49%で成長し、55億1860万米ドルに達すると見込まれています。
近年はアジア太平洋地域における3Dカメラ市場が拡大しており、特に中国市場はアジア太平洋全体で最も高いCAGRで成長し、急速に拡大すると予測されています。
3DカメラはAMRの移動に必要
AMRの移動には、3Dカメラが不可欠です。搭載されている3Dカメラによって、障害物回避や適切なナビゲーションが作動し、AMRは安全かつ効率的に移動できます。
AMR用の3Dカメラの主な特徴には、以下が挙げられます。
距離計測
3Dカメラが物体までの距離を正確に測定。ロボットは周囲の障害物や物体の位置を把握し、適切なナビゲーションを行う。
深度情報の取得
3Dカメラの機能によって、物体の立体的な形状や表面の情報を取得。これにより、ロボットは物体や障害物をより正確に識別し、効果的に回避する。
環境マッピング
周囲の環境をリアルタイムでマッピング。この機能によって、ロボットは自己位置推定や経路計画に必要な地図を作成し、効率的に移動する。
障害物回避
3Dカメラによって取得された情報を使用して、ロボットは障害物を自動的に検出し、回避する。障害物を効果的に回避することで、安全性が向上し、衝突や事故を防ぐ。
AMR(自律走行搬送ロボット)の走行ルートを制御するシステムを開発
近年は各国のメーカーが、さまざまな機能を搭載させたAMR用の新しいシステムを開発しています。ここでは、スイスの大手ロボットメーカーであるABBロボティクスが開発した、「Visual SLAM(ビジュアルスラム)」をご紹介します。
Visual SLAMは、AIと3Dビジョンの機能によってAMRを効率的に誘導するシステムです。Visual SLAMの大きな特徴は、AI(人工知能)と3Dビジョンシステムを活用することで周囲の環境を自動マッピングし、AMRの位置情報を精確に取得する点です。そのため、従来のAMRの誘導に必要だった磁気テープやQRコードの設置は不要となります。
この先進的なシステムの大きなメリットは、既存の環境を大幅に変更する必要がなく(生産停止やインフラの追加などが必要なく)、容易に導入できるということです。その結果、従来の2D SLAMと比較して、運転時間を最大で20%程度短縮できるとされています。また、既存の環境に新しいAMRを追加する際の作業時間も短縮できるため、コア業務の停滞のリスクもほとんどありません。
Visual SLAMはリモートでフリートを更新できるため、作業や運搬を効率的に管理できます。これにより、フリートの状態や性能をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて対処できます。
さらに、Visual SLAMの利点は、走行によって得られた生データのみが解析され、AMRやサーバーに画像イメージが保存されないことです。そのため、企業や組織はセキュリティの観点から安心してVisual SLAMを導入でき、自律走行搬送ロボットの効率と安全性を向上させることができます。
AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラを提供しているメーカーは?

画像出典:NANOXEED
AMR(自律走行搬送ロボット)用3Dカメラを開発・提供しているメーカーはさまざまであり、搭載されている機能や特徴も異なります。この記事では、AMR用3Dカメラを提供している主なメーカーとその主要なシリーズ(商品)をご紹介します。
NANOXEED
NANOXEEDが提供している「360度3Dカメラ PALシリーズ」は、単一センサを使用した全方位3Dカメラです。特殊光学系と画像処理ソフトウェアが搭載されており、AMRとしての運用はもちろん、ロボティクス、セキュリティ対策などのさまざまな分野で活用できます。
画像処理においては、360°× 110°の画像を取得できる点が特徴です。また本体は可動部が全くなく、非常にコンパクトな作りであるため、屋内・屋外のどの環境でも効果的に使用できます。さらに低消費電力・低遅延・低コストという点もメリットです。
Allied Vision
Allied Visionが提供するAMR用3Dカメラ「Alviumカメラシリーズ」では、ALVIUM®テクノロジーと呼ばれる独自技術を活かしたプラットフォームが採用されています。このテクノロジーは、さまざまな特殊機能とイメージ・シグナル・プロセッサが融合したもので、1つのプラットフォームおよび1つのドライバーですべてのセンサーに対応できます。
このプラットフォームの魅力は、200種類を超えるモデルから事業に適したカメラを選択できるということです。各モデルごとにオプションも幅広いため、柔軟性の高い運用が可能です。
e-con Systems
e-con Systemsは、ステレオビジョンカメラの設計で8年以上の実績と経験を誇る企業です。同社が提供する最新型のAMR用3Dカメラは、高度なキャリブレーション技術とアルゴリズムが搭載されており、業界最高水準の視差マップの生成を可能としています。
e-con SystemsのAMR用3Dカメラは、自動車業界のセンサーを活用している点も特徴です。同社が提供するHDRカメラ・エンクロージャーカメラ「See3CAM_CU20」は、自動ホワイトバランスや自動露出制御の機能が備わっており、さまざまな照明条件でも画像を容易にキャプチャできます。
AMR(自律走行搬送ロボット)用の3Dカメラは、周囲の環境を認識し、自律移動を可能にする専用カメラです。2022年の市場規模は13億634万米ドルで、2029年までの予測ではCAGR 20.49%で成長し、55億1860万米ドルに拡大する見通しです。
特にアジア太平洋地域での市場が急速に成長し、中国市場が最も高いCAGRで拡大しています。3DカメラはAMRの移動に欠かせず、距離計測、深度情報取得、環境マッピング、障害物回避などの機能を備えています。これにより、ロボットは安全かつ効率的に移動し、衝突や事故を防ぎます。
各国のメーカーが新しいAMR(自律走行搬送ロボット)システムを開発しており、スイスのABBロボティクスが「Visual SLAM」を開発しました。このシステムは、AIと3Dビジョンを組み合わせてAMRを効率的に誘導し、周囲の環境を自動マッピングして位置情報を正確に取得します。従来の磁気テープやQRコードの設置が不要で、既存の環境を大幅に変更する必要もなく、容易に導入できます。
これにより、運転時間を最大で20%短縮し、新しいAMRの追加作業時間も削減できます。
さらに、リモートでフリートを管理でき、セキュリティ上のリスクも低減します。そのため、企業や組織は安心して導入し、自律走行搬送ロボットの効率と安全性を向上させることができます。
NANOXEEDの「360度3Dカメラ PALシリーズ」は、単一センサーを使用した全方位3Dカメラで、特殊光学系と画像処理ソフトウェアが搭載されています。
Allied Visionの「Alviumカメラシリーズ」は、ALVIUM®テクノロジーを採用し、200種類以上のモデルから選択できるプラットフォームです。
e-con Systemsの最新型AMR用3Dカメラは、高度なキャリブレーション技術とアルゴリズムが搭載されており、HDR機能や自動露出制御を備えています。これらの製品は、産業用ロボットや自動車業界などのさまざまな分野で活用されています。
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