AMR(自律走行搬送ロボット)とは?メリット・デメリットについて解説 | 搬送ロボットガイド
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AMR(自律走行搬送ロボット)とは?メリット・デメリットについて解説
公開:2023.11.28 更新:2024.10.08
AMR(自律走行搬送ロボット)は、自動化技術の進化により工場や倉庫などで注目されている搬送ロボットです。メリットとして、作業効率向上や人との協働が挙げられますが、導入コストやスペース確保、トラブルリスクにも注意が必要です。
目次
AMRとは?AGVとの違い
AMRとはどのようなロボットなのでしょうか?まずは、AMRの特徴やAGVとの違いをご紹介します。
◇AMR(自律走行搬送ロボット)とは?
AMR(Autonomous Mobile Robot)とは、搭載のアームを用いて荷物を運搬する自走式搬送ロボットのことであり、「自律走行搬送ロボット」とも呼ばれています。AMRは、主に工場や倉庫、物流センターなどで利用されていることが多いです。
AMRは搭載されたセンサーやカメラなどの機能を利用して物流現場の障害物を検知し、回避する技術を備えています。さらに、AIによって目的地までの効率的な経路を自動的に判断できる能力を持ち、たとえ複雑な環境やルートであっても人や障害物を避けながら確実に目的地に荷物を運搬できます。
その他にも、新しい任務や経路にも柔軟に対応できる点も特徴のひとつです。この柔軟性により、作業プロセスの変更や追加の作業にもスムーズに対応し、物流作業を効果的に行えます。近年はAMRの開発や導入する会社が増えており、「次世代のAGV」とも呼ばれています。
◇AMRとAGVの違い
AGVも、AMRと同じ搬送ロボットですが、その走行方式が大きく異なります。AMRはセンサーやカメラから得た情報から周囲の状況を見極め、自己走行しますが、AGVは磁気テープや二次元バーコードなどの誘導体に沿って走行します。
つまり、AGVは通常、予め人によって指定された専用ルートを辿るため、自由な移動や臨機応変な対応が困難です。また、作業スペース内にAGVが走行する誘導体を設置しなければならず、他の機器や作業機器の走行に支障をきたす可能性があります。
一方で、AMRはロボットが通過できる幅さえ用意すれば、特定の誘導体が要らず、既存の環境やレイアウトを変更する必要がありません。また、床への設置も不要なため、他の機器の走行を妨げません。
AMRを導入するメリットとは?
業務にAMRを導入する主なメリットは以下の4つです。
◇作業の効率化
AMRを業務に取り入れるメリットとして、作業効率向上があります。例えば、ピッキングから梱包まで1人の作業者が担当していた場合、AMRに運搬を委ねると無駄な移動がなくなり、作業フローをより効率的に細分化することが可能です。ピッキング、検品、梱包などの作業を専門的に担当させることで、作業効率や生産性向上にもつながります。
◇人とロボットが協働できる
AGVには人間と協働できるメリットがあります。従来のロボットAGVは指示に基づく単調な作業が主流であり、人とロボットのエリアが厳密に分離されていました。しかし、人との稼働範囲を共有することを前提とするAMRは地図の自動作成機能を搭載しているため、人間との協働が実現可能です。動作環境が変わってもその変化に合わせて柔軟に対応できる点はモノづくり業界の新しい変革であり、これにより、人とロボットが協力して業務を行う流れがますます普及していくでしょう。
◇ヒューマンエラーの削減
高度な正確性を備えるAMRの導入により、人が手作業で行う際に発生するヒューマンエラー発生率を下げることが可能です。作業ミスの減少は商品の品質の安定化に直結し、顧客からの信頼性向上に期待できます。さらに、顧客満足度の向上につながれば、企業のブランド評価を高める要因にもなります。
◇教育コストの削減
AMRを導入すると、従業員への教育コストの削減が期待できます。通常、新しい作業者を採用する場合、商品や取引先によって異なる出荷ルールを指導する必要があり、その教育には時間がかかります。しかし、人間とAMRが協働する物流現場では、新人スタッフに対してすべての業務を個別に教育する必要がありません。一人ひとりの教育に時間をかけずに、初出勤の従業員も即戦力として迅速かつ効率的に作業に参加できるため、教育効率の向上と人材の柔軟な運用が可能です。
AMRを導入するデメリットとは?
導入メリットの多いAMRですが、同時に注意したいデメリットも存在します。以下のようなデメリットを考慮した上で、導入の可否を検討しましょう。
◇導入コストがかかる
AMRの導入には本体の購入費用だけでなく、システム構築や運用にかかる費用、故障時の修繕費などのランニングコストがかかるデメリットがあります。ただし、購入費用に関してはAGVよりも高めですが、維持費はAMRのほうが比較的安価です。導入する際には、導入コストが何年で回収できるかを検討することが重要です。
◇スペースを確保する必要がある
AMRを導入する際には、スムーズに走行できるよう、通路や作業スペースの整理整頓が不可欠です。商品が乱雑に配置されていると、効率的な動きが妨げられる可能性があります。また、AMRそれぞれのサイズや形などに合わせて最低限の通路幅を確保することも重要です。導入前に倉庫のレイアウトと要件を調整し、円滑な運用を進めましょう。
◇稼働できないリスクがある
AMRは基本的に24時間365日稼働できますが、ネットワークやシステムなどの予期せぬトラブルが発生するとストップしてしまう恐れがあります。瞬時に復旧できれば業務に大きな支障はありませんが、長時間の稼働停止は現場に影響を与えるケースもあります。導入の際には、トラブル時のサポート体制についても確認し、業務に支障が出ないように配慮しましょう。さらに、ユーザーの評価等も参考にしてニーズを満たすメーカーを選ぶことが重要です。
AMR(自律走行搬送ロボット)は自走式の搬送ロボットで、工場や倉庫で荷物を運搬するために使用されます。AMRはセンサーやカメラを備え、障害物を検知し、自動的に効率的な経路を選択して目的地に移動します。
また、柔軟性が高く、環境や作業プロセスの変更にも対応可能です。AGVとは異なり、専用ルートや誘導体を必要とせず、既存の環境に適応します。AMRの主なメリットは、作業の効率化、人との協働、ヒューマンエラーの削減、教育コストの削減です。
ただし、導入コストが高く、スペースの確保が必要であり、稼働停止のリスクも存在します。導入前にコスト回収期間を検討し、信頼性の高いサポート体制を確保することが大切です。
