ロボットの新規導入では「AMR」のニーズが増加!その理由とは | 搬送ロボットガイド
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ロボットの新規導入では「AMR」のニーズが増加!その理由とは
公開:2024.03.21 更新:2024.10.07
急速に増加している自律走行搬送ロボットの市場。AMRのニーズがどこにあり、市場拡大がどのように広がっているのでしょうか?新規導入で参考になる、ロボット市場のなかのAMRの動向も分析します。
物流業界では、AIの活用や人手不足により、物流DXを推進する企業が増加しています。その中でも注目されているのがAMR(自律走行搬送ロボット)で、導入割合は低いものの、今後の導入を検討中の割合は最も高くなっています。
AMRの注目される理由は、柔軟性と効率性にあります。AGVと異なり、AMRは自立走行し、既存のレイアウト変更が不要です。
また、中小規模の倉庫でも導入が容易で、スペース利用の最適化と作業効率の向上が期待されます。AMR導入により、企業は作業効率の向上と人件費の削減を期待できます。
目次
自律走行搬送ロボット(AMR)の世界市場予測
自律走行搬送ロボット(AMR)の世界市場規模は2028年に41億ドル、市場の平均年成長率は17.5%増で推移する見込みです。さらに2026年のAGV/AMR世界出荷金額を9,087億円に拡大することを予測しているレポートもあります。
さらに2030年までに91億米ドルに達し、予測期間の2024年~2030年にCAGRで12%の成長が見込まれています。AMRのニーズは、インダストリー4.0構想の迅速な採用や、クラウドコンピューティング、AI、IoTなどの最先端技術の取り込みにより、劇的に増加しています。
人手不足や人件費上昇、作業の効率化を目指す、世界的な物流搬送自動化の潮流で、市場は本格的な拡大局面に入っているといえます。
参考文献:AGV/AMR世界市場に関する調査を実施
無人搬送車(AGV)/自律走行搬送ロボット(AMR)の世界市場 – 予測(2024年~2030年)
物流業界で注目度がアップしているのはAMR
物流産業において、AIの活用や人手不足などを背景に、物流DXを推進している企業が増加しています。物流DXで近年特に注文されているのが、AMR(自律走行搬送ロボット)です。ここでは、企業におけるAMRの導入割合やAMRの世界市場予測について解説します。
AMRの導入割合は?
LOGISTICS TODAY編集部が公開している情報によると、物流業界における物流ロボティクスの導入の割合は以下のようになっています。
・AGV 14.0%
・棚移動ロボット 9.0%
・GTP 8.6%
・ロボットアーム 8.0%
・ピッキングロボット 6.0%
・AMR 4.5%
次に、今後導入を検討している物流ロボティクスの割合は以下のとおりです。
・AMR 21.1%
・ピッキングロボット 16.5%
・ロボットアーム 14.6%
・AGV 15.2%
・棚移動ロボット 7.5%
・GTP 5.2%
上述のように、既に導入されている割合ではAMRは上位には位置していませんが、新規導入を検討中の割合ではAMRが最も高く、注目されていることが明らかです。
世界市場予測でもAMRは右肩上がり
次に、AMR(自律移動ロボット)の市場予測を見てみましょう。
2021年のAMRの世界市場規模は3,387億円でした。2022年には前年比118.6%増の4,017億円に達すると見込まれています。さらに、2023年には5,146億円、2024年には6,404億円、2025年には7,644億円に成長する予測です。これにより、AMRの世界市場規模は右肩上がりで拡大しています。
AMRを導入している分野では、製造業が全体の8割を占めています。特に、大手の自動車メーカーや電子機器メーカーが中心です。残りの2割は物流業が占めており、ECメーカー、アパレルメーカー、食品メーカーなどが商品や材料の運搬や倉庫管理にAMRを利用しています。
また、建設業、各種インフラ産業、空港での貨物コンテナの運搬など、他の分野でもAMRの活用が進んでいます。
AMRが注目される理由とは
AMR(自律走行搬送ロボット)が注目される理由は、その革新的な機能に加えて、従来の自動化システムと比較して、より柔軟性が高いことが挙げられます。
従来の棚レイアウトへ対応可能
AMR(自律走行搬送ロボット)の主な特長は、その柔軟性と効率性にあります。AMRは自立走行が可能であり、既存の棚やレイアウトを変更する必要がありません。
一方、AGV(自動誘導型搬送車)は、あらかじめ磁気テープなどで走行ルートを指定する必要があります。新たに導入する際には、レイアウト変更や新しいルートの設定のために磁気テープの再配置が必要です。さらに、AGVは専用の棚や機器を運ぶための準備も必要です。
AMRは自立走行が可能で、センサーやカメラで周囲の状況をリアルタイムに把握し、障害物を回避しながら最適な経路を選択します。そのため、既存の倉庫レイアウトや設備に即座に対応でき、レイアウト変更や新しい作業ルートの設定も容易です。
中小規模の倉庫でも導入しやすい
AMRは、ピッキング用のワーキングステーションを必要としない点が大きな利点です。従来のAGVでは、各ルートおいて300mm~500mm程度の間隔を確保して衝突を避ける必要があります。しかし、AMRは自動的に障害物を回避する能力(自立走行性能)を持っているため、間隔を空ける必要がありません。そのため、倉庫内での効率的なスペース利用が可能となります。
AMRの導入によって、余計なスペースの確保やルート間の間隔調整の手間が省け、倉庫内の作業スペースを最大限に活用できます。これにより、中小規模の倉庫の収容量を最適化し、作業効率の向上が期待できます。
AMRの導入で期待される効果
AMRの導入は、企業にとってさまざまな効果やメリットが期待できます。そのなかでも、特に注目されるのが作業効率の向上と人件費の削減です。
AMRの導入により、作業プロセスが自動化・効率化され、手動作業よりも迅速で正確な作業が可能になります。またAMRの導入により、単純で繰り返しの多い作業を自動化し、人員を削減できます。では個別に見てみましょう。
作業効率アップ
AMRの導入による大きなメリットは、作業効率の向上です。AMRを導入することで、作業プロセスの自動化と効率化が進み、手動作業よりも迅速かつ正確な作業が可能になります。
AMRは自律的に作業を遂行し、設定された経路を自動で移動するため、作業者が手動で物品を移動させる必要がなくなり、時間を節約できます。さらに、AMRは人間と異なり疲れずに24時間稼働できるため、生産性が向上し、生産ラインの停止時間を最小限に抑えることができます。
実際に、ある企業の報告では、従来のカートピッキングと比較してAMRピッキングの作業時間が約半分に減り、走行距離も1/3に削減された事例があります。
人件費の削減
AMRの導入による大きなメリットの一つに、人件費の削減があります。AMRを導入することで、作業に従事する人員の数を減らし、人件費を抑えることができます。
例えば、倉庫内の物品移動や製造ラインの部品運搬などの単純で繰り返しの多い作業をAMRが担当することで、既存の従業員は他の業務に集中できるようになります。これにより、人件費の削減と人材リソースの効果的な活用が実現します。さらに、AMRが人間の代わりに作業を行うことで、人的ミスによる生産停止や品質低下のリスクを軽減することも可能です。
AMRは機械であるため、人間と異なり労働条件や給与の問題が発生しません。AMRの運用コストは一定であり、人件費の増加や労働組合との交渉などの労働関連コストも削減できます。
具体的な事例として、AMRを導入することでピッキング作業員の数と月額人件費が30‐50%減少し、全体の運営費も10-30%減少したという結果があります。
物流業界では、AIの活用や人手不足の影響で、物流DXを推進する企業が増えています。特に注目されているのがAMR(自律走行搬送ロボット)です。現在の導入率は低いものの、今後導入を検討している企業の割合は最も高いことが分かっています。2021年のAMRの世界市場規模は3,387億円で、2022年には前年比118.6%増の4,017億円に達すると予測されています。
AMRの導入は、製造業が8割、物流業が2割を占めています。物流業界では、ECメーカー、アパレルメーカー、食品メーカーなどが需要を示しています。また、建設業や各種インフラ産業、空港でもAMRの活用が増えています。
AMRが注目される理由は、その柔軟性と効率性にあります。従来の自動化システムと比べて、AMRは既存の棚やレイアウトを変更せずに運用可能です。AGV(自動誘導型搬送車)とは異なり、AMRは自立走行し、センサーやカメラで障害物を回避しながら最適な経路を選択します。これにより、倉庫のレイアウト変更や新しい作業ルートの設定が容易になります。
さらに、AMRはピッキング用のワーキングステーションを必要とせず、間隔を空ける必要もありません。そのため、中小規模の倉庫でも導入が容易で、スペース利用の最適化と作業効率の向上が期待できます。
AMRの導入により、企業は作業効率の向上と人件費の削減など、さまざまなメリットを享受できます。AMRは自動化と効率化を促進し、作業プロセスを迅速かつ正確に遂行します。これにより、作業者が物品を移動させる手間が省け、時間と労力の節約が可能です。また、AMRは24時間稼働できるため、生産性が向上し、作業停止時間を減少させます。
実際に、ある企業の報告では、AMR導入後に作業時間が半分に短縮され、走行距離も1/3に削減されたという事例があります。また、AMRは作業に必要な人員数を削減し、人件費を抑える効果も報告されています。
