AMRロボットの停止精度を確認!確認すべき性能と選び方を解説 | 搬送ロボットガイド
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AMRロボットの停止精度を確認!確認すべき性能と選び方を解説
公開:2024.01.28 更新:2024.10.07
AMR(自律型搬送ロボット)の導入では、正確な停止精度が不可欠であり、作業員との共同作業を安全に行うために重要です。停止精度だけでなく、障害物回避能力も考慮すべきです。AMRの停止精度はナビゲーション方式に依存し、選択肢にはDM、テクスチャ、SLAM方式などがあります。停止精度に優れたAMRを選ぶことで、安全性が向上し、事故のリスクが低減します。
目次
AMRロボットの停止精度の重要性
AMRロボットは、作業員と一緒に作業を行うロボットです。通常の産業ロボットと比較して、作業員との接触事故が生じやすいので、選ぶ際はAMRロボットの停止精度がとても重要です。作業をより安全に、そして円滑に進めるためには、障害物回避能力との併用も必要になります。
◇停止精度は安全性に不可欠
AMRロボットは、協働ロボットといわれるように、通常の産業ロボットとは異なり導入後は同じエリアで作業員とAMRロボットが一緒に働くのが特徴です。そのため、導入後、作業員とAMRロボットの接触事故やAMRロボットの転倒による事故が発生しています。
事故が生じるとケガ人が出て、業務にも支障が生じるため、作業員の安全を確保し業務を円滑に進めるためには、AMRロボットの停止精度が必要不可欠です。
停止精度は、搭載されているナビゲーションによって異なり、DM(データマトリックス)方式、テクスチャ方式、SLAM方式などがあり、SLAM方式は、他のふたつと比較すると停止精度が多少劣ります。
◇障害物回避能力との併用は必須
AMRロボットは、まわりの周辺環境に応じて自動で搬送ルートを算出できる自律走行搬送ロボットです。障害物が合った場合、障害物を回避できれば、停止する必要がなくなり、よりスムーズに運搬作業をこなせるようになります。
障害物回避能力を高める機能としては、LiDARセンサー、超音波センサー、距離を計測できるToFカメラ、減速機能などがあります。
停止精度の高い最新AMRロボット

最近では、停止精度に優れたAMRロボットも数多く販売されています。停止精度は、メーカーや機種によって異なるため、複数のメーカーと機種を比較して選ぶことが大切です。Standard-Robots(スタンダード・ロボット)は中国深圳市に本社があり、日本国内でも45社以上の導入実績がある企業です。停止精度の高いモデルとしは、「Oasis300」「AMR600」「SMT」があります。
◇Oasis300
Oasis300は停止精度が±5mmと非常に高精度で、これはドイツP&F社のLiDARセンサーとスイス製のハードウェア、そして独自の制御アルゴリズムが組み合わさって実現されています。この高い停止精度は、さまざまな用途において信頼性のある動作を可能にします。
さらに、Oasis300はカスタマイズが可能です。可搬重量は300kg、600kg、1000kgから選べ、既存のローラーや協働ロボットと組み合わせることもできます。このカスタマイズ性により、異なる用途や環境に合わせて最適な設定を選ぶことができます。
◇AMR600
AMR600はOasis300と同じく、±5mmの停止精度を誇ります。そして、AMR600の主な特徴は以下の二つです。
まず一つ目は、全方位のスキャン能力です。このAMRは可搬重量が300kg(予定中)、600kg、1500kgから選択できます。また、デュアルLiDAR方式を採用しており、半径40mの範囲内で常時全方位のスキャンを行うことが可能です。これにより、作業中の事故リスクを軽減すると同時に、安全性が向上します。
そして、二つ目の特徴は、立体的なエリア確認が可能であることです。AMR600には3DカメラやTOFセンサーが搭載されており、周囲の環境を立体的に認識することができます。これにより、狭いスペースや複雑な環境でも安全かつ効率的に作業を行うことができます。
◇SMT
SMTはOasisをベースに開発されたローラータイプのAMRロボットです。SMTの主な特徴は、以下のふたつです。
まず、停止位置と角度の調整が可能です。通常、AMRの停止精度は±5mmですが、SMTではQRシールを応用する特殊技術により、停止位置を±0~2mm、角度を±0.5度まで調整できるようになっています。これにより、非常に高い精度でタスクを遂行することができ、厳密な位置合わせが求められる作業にも対応できます。
また、SMTは豊富なラインナップを提供しており、用途に合わせて選択肢が豊富です。1段、上下2段、左右2列、2段x2列方式など、多彩なバリエーションが用意されています。さらに、カスタマイズも可能で、特定の業務ニーズに合わせて設定できるため、幅広い産業や環境で活用されています。
AMR性能を停止精度以外から確認する
AMRロボットを導入することは、作業現場の業務効率化やコスト削減にも役立ちます。安全性を確保するためには、静止精度と障害物回避能力が重要ですが、業務効率化を図るためには、積載重量、走行スピード、ダウンタイム率の確認が必要です。
◇積載重量
AMRロボットに載せられる荷物の重さのことです。積載重量は機種によって異なり、大きければ大きいほど一度の多くの荷物を運搬できるため、AMRロボットを稼働させる回数を減らせます。最近では、最大可搬重量が1,900キログラムの高効率なAMRロボットも販売されています。
しかし、一般的に、積載重量が大きければ大きいほど本体のサイズが大きくので、積載重量が大きい機種は、狭い通路や複雑なレイアウトの作業場には導入しづらいのがデメリットです。
積載重量が大きくなると価格も高額になるため、予算との兼ね合いも重要になります。
◇走行スピード
走行スピードも、作業効率を左右します。AMRロボットの走行スピードは、秒速1~2m、時速にして3.6~7.2kmくらいです。走行スピードはWebサイトやカタログに記載されていますが、あくまでも直線の通路で荷物を乗せずに走らせた場合の走行スピードです。
曲がり角が多かったり、荷物を大量に乗せたりした場合は、走行スピードは遅くなります。記載されている情報を鵜呑みにしてしまうと、思っていたほど業務の効率化が図れないこともあるため、注意が必要です。
◇ダウンタイム率
ダウンタイムとは、AMRロボットが稼働していない時間のことで、具体的には、充電期間、停止時間、ロボットの迷子、修理やメンテナンスにかかる時間などです。ダウンタイム率が高いほど、稼働率が下がり作業効率も低下します。ダウンタイム率の低いAMRロボットの特徴は、以下のとおりです。
・充電期間が短く稼働時間が長い
・メンテナンスがしやすく丈夫で故障しやすい
・迷子になったらAMRロボットの位置確認が確認できる
・サポート体制がしっかりとしているメーカーの製品
AMR(自律型搬送ロボット)の導入を検討する際、停止精度は非常に重要です。なぜなら、AMRロボットは通常の産業用ロボットとは異なり、作業員と同じエリアで作業することが特徴であり、接触事故を防ぐために正確な停止が必要だからです。
この停止精度に加えて、障害物回避能力も組み合わせて考慮することが重要です。
AMRロボットの停止精度は、搭載されたナビゲーション方式によって異なります。DM方式、テクスチャ方式、SLAM方式などがあり、SLAM方式は他の方式に比べて停止精度がやや劣ることがあります。したがって、適切なナビゲーション方式を選択することが重要です。
停止精度の高いAMRロボットを導入することで、安全性が向上し、作業現場の事故リスクが軽減されます。ただし、停止精度だけでなく、積載重量、走行スピード、ダウンタイム率なども考慮し、用途に合ったAMRロボットを選ぶことが重要です。
最近では、停止精度に優れたモデルが多数販売されており、機能や用途に応じて選択肢を比較することが大切です。停止精度の高いAMRロボットは、作業現場の安全性と効率性を向上させ、生産性を高める一助となるでしょう。
