中国のロボット産業が急成長!AMRメーカーの動向を解説 | 搬送ロボットガイド
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中国のロボット産業が急成長!AMRメーカーの動向を解説
公開:2024.03.21 更新:2025.04.21
中国のロボット市場は急速に成長し、2019年には589億元(約8900億円)に達し、うち産業用が65%、サービス用が35%を占めました。特に注目されるのはサービスロボット市場で、2017年から2019年までの2年間で70%も拡大しました。2023年には751億8000万元(約1兆2960億円)に達すると予想されます。
特に需要が高まっているのが移動ロボットで、中国の産業用移動ロボット市場は2015年から2020年まで6倍以上に成長しました。AMR(自律型移動ロボット)への需要も拡大しており、中国のAMRの出荷台数は2019年から2020年にかけて175%上昇しました。
目次
近年の中国ロボット市場は拡大傾向
近年、ロボット市場は世界的な拡大傾向があります。そのなかでも中国ロボット市場は世界最大の規模であり、今後も大きな成長が見込まれています。
中国のロボット市場は右肩上がり
中国のロボット市場は2019年に全体で589億元(約8900億円)に達しました。その内訳は産業用が65%、サービス用が35%であり、産業用ロボットが市場の3分の2を占めています。
特筆すべきは中国のサービスロボット分野の急成長です。2017年から2019年のわずか2年間で、サービス用ロボット市場は70%も拡大しました。これらのロボットは、一般家庭用や物流産業、医療、公共サービスなど、幅広い分野で活用されています。
中国のサービスロボットの需要は今後も拡大を続け、2023年の市場規模は751億8000万元(約1兆2960億円)に達すると予想されています。
中でも移動ロボットの需要が増加
中国のサービスロボット市場において、特に需要が増加しているのは移動ロボットです。中国における産業用移動ロボット市場の規模は、2015年には12億元でしたが、2018年には42.5億元、2020年には76.8億元と、5年間で6倍以上の成長を遂げました。
特に注目すべきは、中国におけるAMR(自律型移動ロボット)への需要拡大です。半導体、液晶、医療、自動車電子などの分野におけるAMRの需要が急速に拡大しており、既存のAGV(自動誘導車)が新型のAMRに置き換わる割合が高くなると予測されています。
実際、中国のAMRの出荷台数は2019年から2020年にかけて175%上昇しており、今後もこの拡大は続く見込みです。
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中国大手YOUIBOTが日本に進出

中国発の自律型移動ロボット(AMR)メーカーであるYOUIBOTが、ついに日本市場への本格進出を果たしました。工場内物流や点検業務に特化した製品力を武器に、日本法人を設立し着実に存在感を高めています。
◇日本法人を設立

2024年2月、中国のAMR大手「YOUIBOT」は、日本法人「Youibot Robotics Japan」(所在地:東京都品川区)の設立を正式に発表しました。設立にあたっては、山善やダイドー、日本機材、三光電業といった代理店が開所式に出席し、日本市場における本格展開を後押しする体制が構築されました。
これにより、日本国内の営業・サポート・導入体制の充実が図られ、今後の事業拡大に向けた地盤が整いました。
特に注目されるのは、日本市場での販売戦略にとどまらず、技術トレーニングや現場支援を含めた「フルサポート体制」の構築を目指している点です。単なる代理販売ではなく、技術者による実地サポートや日本語対応のカスタマーサービスも整備され、導入後の安心感が高まっています。
また、現地ニーズに即した柔軟なカスタマイズにも対応しており、日本企業の現場課題にフィットする提案が可能になりました。
◇工場内物流と巡回点検に特化

引用元:YOUIBOT
YOUIBOTの主力製品は、工場内物流と巡回点検の2分野に明確に特化しており、それぞれの現場課題に応じた最適解を提供しています。
たとえば、半導体製造工場に導入されているAMRは、繊細で高価なウエハの搬送において高精度かつ高速な対応が求められる領域で、1台で最大4人分の作業を代替可能とされています。これにより、省人化と生産性向上が同時に実現されています。
一方、電力プラントやインフラ施設向けには、赤外線サーモグラフィーやAI音声認識を搭載した巡回点検型AMRを展開しています。従来は8人以上の技術者が必要だった複雑な点検作業を1台でカバーでき、作業負担の軽減と人的ミスの削減につながるソリューションとして高く評価されています。
また、AMR同士をネットワークで連携させる「協調稼働技術」も強みで、複数業務を同時にこなす複合運用が可能です。
◇2022年から日本市場に参入

YOUIBOTは2022年より、日本市場への本格的な進出を開始しました。背景には、いわゆる「2024年問題」とされる物流業界におけるドライバー不足や、国内製造業の回帰、スマートファクトリー化の加速といった日本固有の課題があります。
これらの要因が、同社が提供するAMRソリューションのニーズと合致し、市場拡大の後押しとなっています。
すでに日本の大手自動車部品メーカーでは、YOUIBOTのフレキシブルリフトロボットや協調稼働可能なAMR「P200」が導入され、搬送効率の飛躍的な向上とコスト削減が実現されています。
また、3C(コンピューター・通信機器・家電)業界でも、部品や製品の自動搬送による工程最適化が進んでおり、導入事例が次々に増加中です。これにより、同社は日本市場でも確実に実績を積み重ねています。
◇日本市場で目指す成長ビジョン

引用元:YOUIBOT
YOUIBOTが掲げる日本市場でのビジョンは、「現地密着型のローカライズと安定供給による信頼構築」です。同社の張朝輝CEOは、日本の高品質要求に応えるため、今後は製品のさらなる小型化や長時間稼働モデルの開発にも注力すると明言しています。
これにより、日本市場特有のスペース制限や稼働条件にも柔軟に対応できる製品群が期待されています。
また、日本法人代表の張琼氏は、現地採用による人材強化にも積極的です。2025年には売上目標を2億円、2027年には8億円へと拡大させ、事業の黒字化とさらなる市場シェア拡大を目指しています。その先には、グローバル市場への展開強化も視野に入れており、日本をアジア市場の技術・サポート拠点とする構想も進行中です。
加えて、欧米メーカーに比べて高いコストパフォーマンスを武器とするYOUIBOTは、価格と性能の両立を図る提案力においても強みを発揮しています。日本市場では品質とサポート力が重要視されますが、そこに高性能・低価格という競争優位性を組み合わせることで、持続的な成長が見込まれます。
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中国のロボット産業が成長している理由
中国のロボット産業が大きく成長している背景には、さまざまな要因があります。ここでは、その主な要因を解説します。
中国国内のロボットニーズが高い
中国国内のロボット需要が高まっている要因のひとつは、労働力コストの上昇です。中国の経済成長に伴い、労働者の賃金や福利厚生の要求が増加しています。これにより、従来よりも生産性の向上(自動化・省人化)が求められ、ロボット技術の導入が必要とされています。
中国の人口構造の変化も要因のひとつです。中国では労働力の減少と高齢化が進行しており、労働力供給の減少による生産性低下を補うために、自動化やロボット化が積極的に採用されています。
さらに、産業の多様化と技術革新がロボット需要を促進しています。中国の経済は製造業だけでなく、サービス業や農業などさまざまな分野に拡大しており、それに伴いロボットの活用領域も拡大しています。人工知能(AI)やセンサ技術などの技術革新もロボットの性能向上を促しており、需要の拡大につながっています。
5Gやコロナ禍も後押し
5G技術の普及や新型コロナウイルスの影響も中国のロボット産業の成長を後押ししています。5Gの高速通信や低遅延性は、ロボットの遠隔操作やデータのリアルタイム処理に必要な要素です。これにより、より高度な自律型ロボットやIoT(Internet of Things)機器が可能になり、産業の効率化や競争力の向上が実現されています。
新型コロナウイルスの流行は、人との接触を最小限に抑える自動化ソリューションへの需要を促進しました。例えば、食品業界では無人配達ロボットの導入が加速し、接客業界では顔認識技術を備えたロボットが受付や案内業務を行うケースが増えています。
このような状況下で、中国のロボット企業は需要に応じた製品開発やサービス提供を行い、市場での競争力を強化してきました。
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日本で展開している中国のAMRメーカー

画像出典:ジャロック
人手不足などに悩む日本企業が、中国のAMRを導入するケースが目立ってきています。近年は中国企業の日本法人の設立や代理契約店が増加しており、今後中国発のAMRを導入する企業は増える見通しです。
この記事では、日本で展開している中国のAMRメーカーの人気商品をご紹介します。
Syrius Robotics(シリウスジャパン株式会社)

Syrius Roboticsが提供している主なAMRは以下の3つです。
FlexSwift

人とロボットの協業をサポートし、業務の効率化を促進するAMRです。プット・ウォール・トロリーや3D調整可能パレットなどの革新的な機能が搭載されており、仕分けや配送センターにおける作業効率や生産性を改善します。
FlexPorter GO

中・大型商品の運搬を支援するAMRです。FlexPorter GOは、最新の機械学習と人工知能技術が搭載されており、倉庫業や製造業における棚入れ、ピッキング、仕分け作業などの効率を改善します。
FlexPorter DO

物流業務用に設計された大容量AMRです。最新の環境認識技術と自動運転機能を組み合わせ、大型の商品を効果的かつ安全に運搬します。
ForwardX Robotics(フォーワードエックス株式会社)

ForwardX Roboticsが提供している主なAMRは以下の3つです。
Flex AMRシリーズ

倉庫のピッキングや運搬を効率化する低床式AMRです。360度障害物回避、自律充電、さらにスキャナーやプリンターなどのさまざまなオプションが搭載されています。
Max AMRシリーズ

Flex AMRシリーズよりも積載領域が大きく、耐荷重も高いAMRです。最大で600kgの運搬が可能であり、幅広い用途に利用できます。専用のリフトが装備されている点も特徴です。
Apex AMRシリーズ

レーザーセンサーで360°認識するタイプのAMRです。このシリーズは、レーザーセンサーの使用により障害物を完璧に回避します。最大積載量1500kg・フォーク揚程3000mmの「Apex C1500-L」と、最大積載量1400kg・フォーク揚程1500mmの「Apex 1400-L」の2種類が提供されています。
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AMRの導入で得られるメリットとは?
工場や倉庫の自動化を進める中で、注目を集めているのがAMR(自律走行搬送ロボット)です。AGVと比較して柔軟な運用が可能であるAMRは、人手不足や業務効率化の課題解決に貢献しています。
◇人と稼働範囲を共有できる
まず、AMRの最大の特長のひとつが「人と稼働範囲を共有できる」点です。従来のAGVはあらかじめ決められたルートを走行するため、人と同じ空間で作業するには安全柵などでエリアを分ける必要がありました。
これに対し、AMRは高精度なセンサーやSLAM(自己位置推定・地図生成)技術により、周囲の人や障害物をリアルタイムで認識しながら自律的にルートを調整し、安全に人と協働できます。
その結果、作業エリアを無駄なく活用でき、倉庫全体のレイアウト設計も柔軟になります。
◇ピッキング作業の負荷軽減
次に、ピッキング業務においてもAMRの活躍は顕著です。従来の方法では、作業者が長い距離を歩き回りながら台車を押し、商品をピッキングしていく必要がありました。AMRを導入することで、ロボットが自動で作業者の近くまで商品を運んでくれるため、作業者はその場で効率よく商品を取り出すだけで済みます。
さらに、ピッキング指示が表示されるディスプレイ付きのカート型AMRも存在し、作業の正確性とスピードの両方を向上させることが可能です。これにより、肉体的負担や精神的ストレスも大幅に軽減されます。
◇省人化とコスト削減
そして、省人化による効果は企業のコスト削減にも直結します。AMRが担う搬送作業は、これまで人が時間と労力をかけて行っていた工程の一部または全部を代替可能です。結果として、人的リソースをより付加価値の高い業務へと振り分けることができ、生産性の底上げにつながります。
加えて、ロボットは24時間稼働が可能であり、ヒューマンエラーのリスクも大幅に低減されます。たとえば、複雑なパーツを扱う製造業では、誤配送や欠品を防ぐ手段としてAMRが重宝されており、その導入効果は明確です。
◇レイアウト変更に強い
最後に、AMRは変化に強いという点でも大きな優位性を持っています。工場や物流倉庫では、新製品の導入や作業工程の見直しにより、頻繁にレイアウト変更が発生します。
AGVではそのたびに誘導磁気テープを貼り直すなどの手間が発生しますが、AMRは自律走行のため、地図データを更新するだけで新たなルートを走行できます。これにより、現場の柔軟な運用が可能になり、導入後の維持管理コストも低く抑えることができる点が魅力です。
特に季節や繁忙期ごとに動線を変える必要がある現場では、AMRの強みが最大限に発揮されます。
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AMRとAVGの違い
自動化が進む製造現場や物流拠点では、「AGV(無人搬送車)」と「AMR(自律移動ロボット)」のどちらを導入すべきかという議論が活発になっています。どちらも物品の搬送という共通の目的を持ちながらも、その仕組みや導入効果、運用の柔軟性には大きな違いがあります。
◇走行方式と障害物対応力の違い
AGV(Automated Guided Vehicle)とAMR(Automated Mobile Robot)の走行方式と障害物対応力の違いを整理しました。これらの違いを理解することで、用途や環境に適したロボットを選ぶ判断材料となります。
AGVは単純な環境や定型的なルートに適しており、AMRは複雑で変化の多い環境においてその真価を発揮します。それぞれの特性を理解し、用途に応じた選択が重要です。
AGVの走行方式と特徴
- 誘導体に沿った走行
磁気テープやレーザーリフレクターなどの誘導体を使用して、設定されたルートを走行。- 例:レールの上を走る列車のように、決められた道しか進めない。
- 障害物対応
- ルート上に障害物があると、自動停止するのみ。
- 自己判断での回避行動は不可能。
- 影響:障害物の除去まで作業が停止し、生産ライン全体に影響を与える可能性あり。
AMRの走行方式と特徴
- 自律的な走行
LIDAR(レーザーセンサー)、カメラ、その他のセンサーを活用し、周囲の環境をリアルタイムで把握。- 自律的にルートを再構築可能。
- 必要に応じて進路を変更しながら柔軟に対応。
- 障害物対応
- 突発的な障害物に対しても柔軟に回避。
- 自分で最適な道を見つけて進行可能。
SLAM技術によるAMRの強み
- SLAMとは?
- 「自己位置推定」と「地図作成」を同時に行う技術。
- 例:AMRは自身の位置を正確に把握しながら、環境の地図を作成。
- 効果
- 工場や倉庫内の混雑した環境でもスムーズな搬送が可能。
- 障害物や移動する他の機器にも対応できるため、作業効率を向上。
◇柔軟性の違い
AGV(Automated Guided Vehicle)とAMR(Automated Mobile Robot)は柔軟性の面でも大きく異なります。それぞれの特性を理解することで、導入時の課題やメリットを把握できます。
AGVは固定ルートに依存する一方で、AMRは柔軟性と適応力を持ち、急激な環境変化に対応できます。特に、変化の多い生産現場や多品種少量生産が求められる現場では、AMRの導入が効率化と競争力向上の鍵となるでしょう。
AGVの柔軟性と課題
- 物理的インフラの必要性
- 導入時に磁気テープやセンサーなどの走行ルートの整備が必要。
- 例:床面に磁気テープを敷設し、それに沿った走行が可能になる。
- 変更への対応が困難
- レイアウト変更や新しい生産ラインの追加には再構築が必要。
- 例:磁気テープやセンサーの再設置に時間とコストがかかる。
- 柔軟性の制限
- 固定されたルートに依存するため、柔軟な現場対応が難しい。
- 環境の変化に適応するには、追加作業が必要。
AMRの柔軟性と利点
- インフラ整備が不要
- ソフトウェアでルートを設定・変更可能。
- 物理的な設備に依存しないため、現場の環境変化に即応。
- 迅速な再設定
- 搬送タスクやルートの再設定がソフトウェア上で完結。
- 現場のニーズに合わせた運用が容易。
- フリート管理の実現
- 複数台のAMRをネットワークで一元管理。
- 管理内容
- 稼働状況
- バッテリー残量
- 位置情報
- 最適なロボットに指示を出して効率的に動作。
◇変化する生産ニーズにスムーズに対応
近年、製造業や物流業界では以下のようなニーズが高まっています。
- 多品種少量生産:顧客の多様なニーズに対応するため、少量の製品を迅速に生産する必要がある。
- 短納期対応:注文から出荷までのリードタイムを短縮し、迅速な対応を実現することが求められる。
- 急激な環境変化への適応:市場の変化に即応できる柔軟なオペレーション体制が不可欠。
AGVの課題
- 柔軟性の制限
- 固定ルートでの運行が前提となるため、以下の状況で対応が困難:
- 生産ラインの変更
- 製品切り替え
- 結果として、ライン変更時に大幅な調整が必要。
- 固定ルートでの運行が前提となるため、以下の状況で対応が困難:
- 再設定の手間
- ルート変更時には物理的な設備や設定作業が発生し、コストや時間がかかる。
AMRの利点
1. 柔軟なルート変更への対応
- 自己学習機能
- 地図データの再読み込みと自己学習によって、設定変更を簡素化。
- 新しいルートや作業プロセスを自動的に適応。
- 実例
- 工場内に新しい生産ラインや在庫棚を追加した場合:
- AMRがセンサー情報をもとに自動でマッピングを更新し、最適ルートで搬送を継続。
- 工場内に新しい生産ラインや在庫棚を追加した場合:
2. システム連携の強化
- 柔軟なインターフェース
- MES(製造実行システム)やWMS(倉庫管理システム)との統合が容易。
- プロセス全体の最適化
- 生産から出荷までのプロセスを一元管理し、自動化を推進。
AMRの導入メリット
- 時間とコストの削減:物理的なインフラ変更が不要で、設定変更も迅速。
- 運用効率の向上:急激な環境変化にも対応可能。
- プロセスの最適化:生産から出荷までの自動化により、全体の効率性を向上。
◇迅速な投資回収
AGVの導入は大規模な初期投資が必要となる一方、AMRは設備改修を最小限に抑えつつ、迅速な稼働と投資回収を実現します。スケーラブルな運用による柔軟性も備え、企業の成長に応じた最適な選択肢として注目されています。
AGVの課題
- 多大な初期投資が必要
- ガイドシステムの設置や工場レイアウトの調整が必要。
- 運用マニュアルの再整備に手間がかかる。
- 生産ロスのリスク
- 導入工事のために生産ラインを一時停止する必要があり、ダウンタイムが発生。
- 回収までの時間
- 年単位での投資回収期間が必要になるケースが多い。
AMRの利点
1. 設備改修の最小化
- 導入がスムーズ
- 既存の設備をそのまま活用できるため、初期コストが抑えられる。
- 設備改修をほとんど必要としない。
2. 早期稼働が可能
- 迅速な運用開始
- 設定変更が容易で、導入後すぐに稼働を開始できる。
- クラウドベースでの運用状況管理が可能。
3. 投資回収が短期間で完了
- 実績例
- 多くの企業で6か月以内に初期費用を回収。
- ダウンタイムや生産ロスが少ないため、早期成果創出が期待できる。
4. スケーラブルな運用
- 柔軟な導入
- 必要に応じて少しずつ台数を増やすことが可能。
- 事業の成長フェーズに応じた拡張が容易。
AMRの導入メリット
- 短期間での投資回収:早期の費用回収が可能で、リスクを軽減。
- スムーズな運用開始:設備改修や複雑な工事が不要。
- 柔軟な拡張性:事業成長に合わせた段階的な導入が可能。
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AMRの導入例
近年、物流現場では人手不足と作業負担の軽減が大きな課題となっており、AMRの導入がその解決策として注目されています。実際に導入を進める企業は増加しており、業種や規模にかかわらず、その効果が実証されています。
◇Amazon
まず、EC業界の巨人・Amazonでは、急増する注文対応の効率化と安全な作業環境の実現を目的にAMRを導入しました。特に大阪府茨木市のフルフィルメントセンター(茨木FC)では、自律走行型のロボットが商品棚を運搬し、作業員は定位置で作業できる体制が整えられています。
ロボットは床のQRコードを読み取りながら動き、人の代わりに商品をピックアップポイントへ運ぶ役割を担います。さらに、AIを搭載したフォークリフトや産業用ロボットアームも併用され、仕分けや棚への格納作業を効率化。
これにより、作業員の移動による身体的負担が軽減されただけでなく、安全性の向上にもつながりました。ただし、すべての工程が自動化されたわけではなく、複雑な形状や不規則なサイズの商品については依然として人の手が不可欠です。
こうして、Amazonは人とロボットが連携するハイブリッドな現場を構築し、業務の安定稼働を支えています。
◇ニトリ
次に、家具・インテリア大手のニトリも、EC需要の高まりを受けてAMRの導入を進めました。公式通販サイトを利用する顧客が増加したことで、物流倉庫の業務負荷は大きくなり、効率化が急務となったのです。
そこで、ノルウェー企業が開発したロボットストレージシステムに着目し、数十台規模のロボットを導入。視察の際に目の当たりにした高度な自動化技術が、導入を後押ししたといいます。導入されたAMRは、棚ごと作業ステーションまで搬送し、作業員は定位置で商品のピック・梱包を行う仕組みです。
AIの活用によって、季節ごとの売れ筋やついで買いされやすい商品を分析し、自動で棚の配置最適化も行われています。導入前は長距離の歩行が必要だった作業者の負担は劇的に軽減され、出庫効率も大幅に向上。さらに、分析データは販促や在庫管理にも活かされており、現場全体のスマート化が実現されています。
◇アリババ
最後に、中国最大のECプラットフォーム・アリババも、スマートウェアハウス化の一環としてAMRを積極導入しています。同社はTmall部門でAGV(無人搬送車)を中核とした倉庫自動化を推進。IoTやAI、エッジコンピューティングを組み合わせることで、ピッキングや棚の移動を自動化し、人の負担を最小限に抑えています。
AGVは棚にアクセスし、目的の商品を出荷エリアへと運搬。作業員は棚から商品を取り出し、梱包・発送作業に専念できます。ロボット同士はセンサーを通じて障害物や人を認識し、衝突を避けながら効率的に稼働。また、AIにより人気商品の配置を分析・最適化することで、倉庫全体の稼働効率も向上しています。
結果として、従来の6倍以上の作業スピードを実現。今後の物流需要増加にも柔軟に対応できる体制が構築されました。
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AMRの導入を考えるなら検討したいおすすめメーカー3選
AMRの導入を検討する際、信頼できるメーカー選びは成功への第一歩となります。近年は技術力に加え、サポート体制や柔軟な提案力を持つ企業が注目されています。
◇大喜産業株式会社

長い歴史を持つ大喜産業株式会社は、ロボティクス事業を柱のひとつに掲げ、近年はAMR(自律移動ロボット)分野にも注力しています。
特に注目すべきは、世界的AMRメーカー「MiR」との連携によるソリューション提供で、台車牽引型の「MiR250Hook」を用いた搬送工程の自動化事例が知られています。からくり機構やエレベーターとの連携など、既存設備を活かした独自の自動搬送システムを構築できる点が、大喜産業の強みです。
また、ロボティクスに関するセミナーや展示会への積極的な出展により、導入企業との接点を多く持ち、現場目線での課題解決を支援しています。AMR導入においては「ベーシックアカデミー」といった教育コンテンツを通じ、知識の底上げから運用体制の構築までを一貫してサポート。
会社名 | 大喜産業株式会社 |
営業本部 | <住所> 〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀1-5-9 <電話番号> 06-6541-1987 |
営業本部東京オフィス | <住所> 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア4F <電話番号> 03-5219-1463 |
大阪支店 | <住所> 〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀1-5-9 <電話番号> 06-6532-0751 |
東京支店 | <住所> 〒333-0815 埼玉県川口市北原台3-2-21 <電話番号> 048-297-1388 |
東京支店つくばオフィス | <住所> 〒305-0031 茨城県つくば市吾妻1-5-7 ダイワロイネットホテルつくば2F <電話番号> 029-817-4844 |
名古屋支店 | <住所> 〒452-0805 愛知県名古屋市西区市場木町416 <電話番号> 052-505-8201 |
東大阪支店 | <住所> 〒581-0861 大阪府八尾市東町4-1 <電話番号> 072-997-0123 |
京滋支店 | <住所> 〒520-3047 滋賀県栗東市手原3-2-3 <電話番号> 077-553-6155 |
四国支店 | <住所> 〒761-0301 香川県高松市林町2554-1 <電話番号> 087-868-4511 |
九州支店 | <住所> 〒812-0895 福岡県福岡市博多区竹下2-4-7 <電話番号> 092-441-0198 |
営業時間 | 公式サイトに記載なし |
公式ホームページ | https://www.daiki-sangyo.co.jp/ |
大手企業との協業実績も豊富で、信頼性の高いパートナーとして高く評価されています。
大喜産業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼MiR社の魅力的なMiR製品とその販売代理店・大喜産業とは
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社ギークプラス

株式会社ギークプラスは、北京ギークプラステクノロジーカンパニーと日本資本によるジョイントベンチャーとして2017年に設立され、物流自動化分野で世界的なシェアを誇るAMRメーカーです。ピッキングや仕分け、格納といった複雑な倉庫内オペレーションを一括で担える多機能なAMR製品群が魅力で、特に「PopPick」や「EVEシリーズ」などは、多数の導入実績を持ちます。
トヨタやアスクル、佐川グローバルロジスティクスなど大手企業による導入も進み、国内外で高い信頼を得ています。加えて、同社の特徴はソフトウェアとの連携によるフルスタック対応力にあります。
物流プロセス全体を見渡した最適化を可能にする統合ソリューションにより、導入から運用、改善提案までを一貫して提供し、24時間365日のサポート体制も整えています。
会社名 | 株式会社ギークプラス |
所在地 | 〒150-6026 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー26F |
電話番号 | 03-5422-1420 |
営業時間 | 9:00~8:00 |
公式ホームページ | https://www.geekplus.jp/ |
また、サブスクリプション型や従量課金制など、柔軟な契約形態も提供されており、コストを抑えつつ段階的な導入が可能です。
株式会社ギークプラスについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼ギークプラスの最先端AMR技術が進化させる物流の未来とは?
◇Gaussy株式会社

Gaussy株式会社は、2022年に設立された比較的新しい企業ながら、三菱商事や三井不動産、東京大学関連ベンチャーなどが出資することで話題を集めるAMRメーカーです。最大の特徴は、ロボット、ソフトウェア、運用支援までを三位一体で提供する「Roboware」という独自の倉庫自動化ソリューションにあります。
導入後も進化を続けるソフトウェアと連動し、ユーザーの声を取り入れたアップデートにより、継続的な生産性向上を実現しています。とくに注目すべきは、「OmniSorter」や「Flexシリーズ」といった柔軟性の高いAMRラインナップです。
これらの製品は、限られたスペースでも運用可能な省スペース設計で、EC物流や食品仕分けといったニーズに対応しています。
会社名 | Gaussy株式会社 |
所在地 | 〒105-0012 東京都港区芝大門2-1-16 +SHIFT SHIBADAIMON 8F |
営業時間 | 公式サイトに記載なし |
公式ホームページ | https://roboware.ai/ |
さらに、Gaussyは倉庫の課題に合わせた最適なカスタマイズ提案や、可視化ダッシュボードによる現場改善支援も提供しており、導入企業からの評価も高まっています。
▼AMRとは?メディア厳選!搬送ロボット3選【搬送ロボットガイド】
中国のロボット市場は急速に拡大しており、2019年には589億元(約8900億円)に達し、そのうち産業用が65%、サービス用が35%を占めました。特に注目されるのはサービスロボット市場で、2017年から2019年までの2年間で70%も拡大しました。2023年には751億8000万元(約1兆2960億円)に達すると予想されています。この中で特に需要が高まっているのが移動ロボットで、中国の産業用移動ロボット市場は2015年から2020年まで6倍以上に成長しました。
特にAMR(自律型移動ロボット)への需要が拡大しており、中国のAMRの出荷台数は2019年から2020年にかけて175%上昇しました。今後もこの成長は続く見込みです。
中国のロボット産業が急速に成長している背景には、いくつかの要因があります。まず、労働力コストの上昇により自動化と省人化が求められており、経済成長とともにロボット技術の導入が必要とされています。
また、労働力の減少と高齢化に伴い自動化が進み、産業の多様化や技術革新も需要を促進しています。
さらに、5G技術の普及と新型コロナウイルスの影響が後押しとなり、遠隔操作や自動化ソリューションへの需要が高まっています。これに応じて中国のロボット企業は製品開発やサービス提供を行い、市場での競争力を強化しています。
日本企業が人手不足に対処するため、中国のAMR(自律走行搬送ロボット)を導入するケースが増えています。中国企業の日本法人や代理店が増加し、中国発のAMR導入企業も増える見通しです。
主な中国のAMRメーカーとして、Syrius RoboticsがFlexSwift、FlexPorter GO、FlexPorter DOを提供し、ForwardX RoboticsがFlex AMRシリーズ、Max AMRシリーズ、Apex AMRシリーズを提供しています。これらの製品は、作業効率や生産性を向上させる革新的な機能を備えており、倉庫業や製造業などのさまざまな分野で活用されています。
搬送ロボットガイドでは、AMRをはじめとしたロボットについての情報を発信しています。ぜひ他の記事もご覧ください。
