AMR自律走行搬送ロボットで工場をスマートファクトリー化 | 搬送ロボットガイド
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AMR自律走行搬送ロボットで工場をスマートファクトリー化
公開:2023.12.22 更新:2024.10.07
スマートファクトリーは、AIやIoTなどの最新技術を活用し、製造現場のデータを収集・分析することで、品質向上、コスト削減、生産性向上などのメリットをもたらします。スマートファクトリーとAMRの組み合わせにより、セル生産ラインにおける必要な部品や材料のタイムリーな搬送を実現し、生産性向上に貢献しています。
目次
スマートファクトリーで人手不足を解消
スマートファクトリーは、製造業の効率化と生産性向上を実現する新たな技術です。AIやIoTなどの最新技術を用いて、製造現場のデータを収集・分析することで、品質向上、コスト削減、生産性向上など、さまざまなメリットをもたらします。
◇作業効率化と生産性向上を狙うスマートファクトリー
スマートファクトリーとは、AIやIoTなどの最新技術を用いて、製造現場の設備、材料、手順などをデジタルで管理することで、作業の効率化や生産性の向上を実現した工場のことです。
従来の製造現場では、ロボットなどの機械を導入し代わりに作業をしてもらうなどして業務効率化を図ってきました。
一方で、スマートファクトリーは製造現場のデータを収集して生産プロセスを見直すことによって、最適な作業フローを分析して製造現場で活躍しています。
◇スマートファクトリーを導入する7つの目的
スマートファクトリーを導入する主な目的について紹介します。
・品質の向上
作業手順や作業結果など、作業員の作業データを収集することで、ヒューマンエラーが発生しやすい原因を特定し、品質向上につなげます。
・コストの削減
需給予測に基づいて適正な在庫管理ができれば、生産計画やリソースの最適化ができ、余剰在庫の削減ができます。
・生産性の向上
EMS(製造実行システム)などの生産管理システムを導入し、設備の稼働率などのデータを集めることによって、作業員の作業計画や設備の稼働計画を最適化します。
・製品化・量産化の期間短縮
製品開発・設計事例を収集し分析することによって、製品設計の自動化や製品開発・設計時間の短縮につながります。
・人材不足・育成への対応
熟練技術者の技能を分析し、技術や知見を体系化できれば、人材育成に生かすことやロボットに代わりに作業をさせることもできます。
・新たな付加価値の提供
製品にセンサーや通信機能を組み込み、使用状況などを把握し分析することによって、利用改善や予防保全につながる新しいアフターサービスを生み出すこともできます。
・リスク管理の強化
製品にRFIDや通信機能を搭載すれば、不具合が発生した際、迅速に対策ができます。
これらの目的達成には、AMRのような自動化技術の導入が不可欠です。
AMR自律走行搬送ロボットが求められている仕事
AMRは、セル生産ラインの課題である必要な部品のタイムリーな搬送や作業の進行を先読みして効率化を実現する技術です。
◇必要なモノをタイムリーに搬送する
セル生産ラインでは、必要な材料や部品をタイムリーに搬送することが求められており、AMR(Autonomous Mobile Robots:自律走行搬送ロボット)はこの要求を満たすにふさわしいロボットです。
変種変量生産に対応しているセル生産ラインでは、AGV(自動誘導車)だけでは対応が難しい場合があります。
セル生産では、一人の作業者が複数工程を担当することで、仕掛品の搬送頻度を減らすことができます。一方で、各作業台の進行状況に合わせてタイムリーに搬出・搬入を行う必要があり、また生産品目の変更時には必要な部品・材料の搬送が必須です。
そのため、AGVのように固定されたルートやスケジュールではなく、状況に応じた柔軟な搬送が求められます。また、作業者がいる場所で無人搬送をする必要があるため、作業者の安全を考慮した機能も必須です。
この課題を解決する手段として、AMRが採用されるようになりました。AMRは、人がいる場所を、状況に合わせて移動ルートを変えながら、モノを安全に搬送します。
センサーで障害物や人の位置を検知してあらかじめマップとして記憶をしておくことで、工場内を安全に移動できます。
この技術は、工場内の利用に留まらず、宅配や郵便物の自動配送などにも応用が期待されています。
◇作業の進行を先読みする
AGVやAMRの搬送における運用では、効果的かつ効率的な運用方法も求められます。仕掛品や組み立て前の部品・材料などの在庫を最小化するために、必要なときに必要なものをジャスト・イン・タイムで搬送することが求められます。
特に、AMRのような搬送経路を柔軟に変更できるシステムでは、最短で搬入・搬出できる移動経路を見つけることが重要になります。
IoTやAIの進歩により、これらに最適な運用方法を見つけることができるようになりました。
まず、IoTにより、セル生産ラインの作業進捗や在庫状況を正確に把握できるようになり、デジタル化された「カンバン」システムを通じて作業の停滞を早期に発見できます。
これにより、必要な部品や材料を効率的に搬送ロボットでピックアップし、最短時間で搬送することも可能になっています。この技術の進化は、生産効率の大幅な向上に寄与しています。
AMR自律走行搬送ロボットの導入事例
AMRは、物流の課題である人手不足や労働時間の短縮、作業効率の向上を実現する技術として注目されています。
◇佐川グローバルロジスティクス
佐川グローバルロジスティクスは、佐川グループの3PL事業を担う企業で、BtoB物流倉庫において人手不足対策と労働時間短縮を目的にAMR(自律走行搬送ロボット)を試験的に導入しました。
その結果、出荷依頼への対応が改善され、1日の処理件数が大幅に増加しました。この成功を受け、他の拠点でも導入が進んでいます。
◇日本通運
日本通運は、空調機器メーカーの保守用パーツの保管・配送を行う物流センターで、スタッフの超過勤務問題解消のためにAMR(自律走行搬送ロボット)を導入しました。
2万3000点の品目を抱え、閑散期に1日1,500件、繁忙期には5,000件のピッキングをこなす中、7~8名のスタッフに対して10台のAMRを配備しました。
これにより作業者は台車を押したりする作業が無くなり、ピッキングに専念でき、作業スピードの向上と精神的負担の軽減が実現しました。
スマートファクトリーの導入は、製造業における効率化と生産性向上を実現する革新的な技術です。AIやIoTなどの最新技術を活用し、製造現場のデータを収集・分析することで、品質向上、コスト削減、生産性向上など多くのメリットをもたらします。スマートファクトリーは、製造現場の設備、材料、手順などをデジタルで管理し、作業の効率化や生産性の向上を実現します。
スマートファクトリーの導入には、品質向上、コスト削減、生産性向上、製品化・量産化の期間短縮、人材不足・育成への対応、新たな付加価値の提供、リスク管理の強化などの主な目的があります。これらの目的を達成するためには、自動化技術の導入が不可欠です。
特に、自律走行搬送ロボット(AMR)は、セル生産ラインにおける必要な部品や材料のタイムリーな搬送や作業の進行を先読みして効率化を実現する技術として重要です。セル生産ラインでは、変種変量生産に対応し、必要な部品や材料をタイムリーに搬送する必要があり、AMRはその要求を満たすための柔軟な搬送手段として注目されています。IoTやAIの進化により、AMRは効果的な運用方法を見つけるためのデータを提供し、生産効率の向上に貢献しています。
具体的な導入事例として、佐川グローバルロジスティクスや日本通運がAMRを導入し、人手不足の解消や労働時間の短縮、作業効率の向上を実現しています。これらの事例からも、スマートファクトリーとAMRの組み合わせが製造業における生産性向上に大きく貢献していることがわかります。
