AMRを導入した事例を紹介!AMRとAGVの違い | 搬送ロボットガイド
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AMRを導入した事例を紹介!AMRとAGVの違い
公開:2023.11.30 更新:2024.10.07AMR(自律走行搬送ロボット)とAGV(無人搬送車)は、工場や倉庫の効率化を図るためのロボットです。AMRは自己走行能力を持ち、柔軟な移動と作業者の協力を可能にします。一方、AGVは事前に設定されたルートを従い、物品の搬送を主な役割としています。こちらでは、AMRとAGVの違いに焦点を当て、AMRの導入事例を通じてその利点を探求します。
目次
AMRとAGVとの違いについて解説
工場や倉庫での作業を効率化するために、ロボットを導入する企業が増えています。
その中でも、AMRとAGVという二種類のロボットが注目されています。
AMRとは?
AMRとは、自律移動ロボットという意味で、作業者と協力してピッキング作業を支援するロボットです。AMRは、ロボットに取り付けられたセンサーやAIを使って、自分で走行ルートを決めて移動できます。そのため、作業者や障害物にぶつからないように回避しながら、目的地までスムーズに到達できます。
AMRは、作業者がピッキングした荷物をカゴに入れて運んだり、ピッキングする場所を示すライトや音声で案内したりすることで、作業者の負担を軽減します。また、AMRは、作業者の動きや倉庫内の状況に応じて、最適なルートやタイミングで動くことができます。これにより、作業の効率化や品質の向上に寄与します。
AGVとは?
AGVとは、無人搬送車で、工場や倉庫での搬送作業を自動化するロボットです。AGVは、車輪のついたロボットで、荷物を乗せたり引っ張ったりして運ぶことができます。AGVのサイズは、搬送するものの大きさによって変わります。小さな部品から大きなコンテナまで、さまざまな種類のAGVがあります。
AGVは、工場や倉庫の床に設置された磁気テープやレール、もしくは無線やレーザーなどで、走行するルートや速度を制御します。そのため、AGVは、あらかじめ決められたルートを往復することができます。
AGVは、人が運転するフォークリフトやコンベヤに比べて、安全性や省スペース性に優れています。また、AGVは、搬送する荷物の重量や種類に応じて、最適な形や機能を選ぶことができます。
AMRとAGVの違いとは?
AMRとAGVは、どちらも工場や倉庫での作業を助けるロボットですが、以下のような違いがあります。
・AMRは、自律走行が可能で、作業者や障害物を回避しながら動くことができます。AGVは、事前に設定されたルートを固定的に動くことができます。
・AMRは、ピッキング作業を支援することができます。AGVは、搬送作業を自動化することができます。
・AMRは、作業者と協調しながら動くことができます。AGVは、人の介入を必要としないで動くことができます。
AMRを導入するメリットとは?
物流業界では、ピッキング作業の効率化が重要な課題の一つです。ピッキング作業とは、倉庫内で商品をピックアップして出荷する作業のことですが、この作業には多くの時間とコストがかかります。
そこで、近年注目されているのが、AMRやAGVと呼ばれる自動運搬ロボットの導入です。
これらのロボットは、倉庫内で荷物を自動的に運搬することで、作業スタッフの負担を軽減し、作業効率を向上させることができます。
具体的なメリット
作業スタッフの移動時間を削減できる
ピッキング作業では、商品を探して倉庫内を移動する時間が大きな割合を占めていま
す。実際に、ピッキング作業の時間の半分以上は移動時間であるというデータもあります。
AMRやAGVを導入すると、ロボットが最適なルートで荷物を自動的に運搬してくれるため、作業スタッフは移動の必要がありません。
これにより、移動時間を大幅に削減することができます。また、ロボットは人間よりも速く正確に荷物を運ぶことができるので、作業のスピードもアップします。
コスト削減
AMRやAGVを導入すると、人間の作業量が減るので、人件費や教育費などのコストを削減することができます。特に、人手不足や高齢化が進む現代では、人材確保や育成にかかるコストは高くなっています。ロボットは、人間の代わりに作業を行うことで、人材の確保や教育にかかるコストを削減することができます。
ただし、AMRやAGVにも、購入費や設置費、メンテナンスなどのコストがかかります。
そのため、導入する前には、業者にコストシミュレーションを依頼して、削減効果と投資効果を比較検討することが必要です。
ヒューマンエラーの削減
人間が作業を行うと、どうしてもミスやモレが発生することがあります。
これらのヒューマンエラーは、出荷ミスや在庫の不整合などの問題を引き起こし、顧客満足度や信頼性を低下させる可能性があります。
AMRやAGVは、人間が設定した動作を忠実に実行するので、ヒューマンエラーの発生を大幅に減らすことができます。もちろん、ロボットにも設定ミスや故障などのリスクはありますが、それらは人間が事前にチェックやメンテナンスを行うことで防ぐことができます。ロボットは、人間の作業を補助することで、品質や安全性を向上させることができます。
AMR(自律走行搬送ロボット)を導入した事例を紹介
画像出典:AspinaAMR
AMR(自律走行搬送ロボット)の導入は、近年多くの企業において効率性と生産性を向上させるための革命的な一歩として注目されています。以下では、AMRを導入した事例を紹介します。
長野計器株式会社
長野計器株式会社は、測定器や計測器の製造・販売を行っている企業です。生産現場では、検査後の製品を台車で生産ラインに運んでいましたが、これには多くの問題がありました。
そこで、長野計器株式会社は、AspinaAMRを導入しました。AspinaAMRは、自律移動ロボット(AMR)の一種で、検査後の製品を自動で搬送することができます。
AspinaAMRの導入後の効果
– 1個からでも搬送できるため、検査後の製品の滞留がなくなり、生産場所での仕掛・保管のエリアが削減できた。
– 作業者は台車の運搬にかかわらなくなり、他の作業に集中できるようになった。
– AspinaAMRは無人で戻ってくるため、ムダな移動がなくなり、工数とミスが削減できた。
AspinaAMRは、生産現場のムダをなくし、業務効率を向上させる優れたAMRです。
ラピュタPA-AMR・京葉流通倉庫株式会社
次に、ペット用品のピッキングに国産ロボットを活用した、京葉流通倉庫のAMR導入事例を紹介します。
京葉流通倉庫株式会社は、ペット用品の物流を担う企業です。近隣の大型スーパーなどにペット用品を供給するために、岩槻倉庫という拠点を運営しています。岩槻倉庫では、2020年12月から、ラピュタロボティクスの国産ピッキングロボット、ラピュタPA-AMRを20台導入し、本格稼働しています。
ラピュタPA-AMRの特徴
・ピッキング作業を自動化することができる。棚から商品を取り出し、カゴに入れる動作を行う。
・購入型の導入形態である。ラピュタロボティクスから直接購入し、自社で運用する。
・一部の区画に対して適用することができる。全体の約3割の区画にAMRを配置し、残りの区画は従来通り人手で行う。
ラピュタPA-AMRは、ペット用品のピッキングに国産ロボットを活用し、物流の効率化と品質向上に貢献しています。
◇KeiganALI・株式会社きくや美粧堂
最後に、化粧品の工程間搬送にKeiganALIを導入し、簡単な操作で現場の業務効率向上に貢献しました事例をご紹介します。
株式会社きくや美粧堂は、化粧品の製造・販売を行っている企業です。工場では、製品の工程間搬送にKeiganALIを導入しています。
KeiganALIの特徴
・工程間搬送を自動化することができる。製品を乗せたカートを引っ張って移動する。
・タブレットを使った操作が簡単である。目的地やルートをタッチするだけで、AMRが動き出す。
・音声アナウンスで現在位置や状況を知らせる。AMRの位置や、何をしているかを音声で伝える。
AMR(自律走行搬送ロボット)とAGV(無人搬送車)は、工場や倉庫での作業を効率化するためのロボットですが、異なる特性と用途を持っています。
AMRは自律的に走行でき、センサーやAIを活用して周囲の状況を感知しながら移動します。作業者と協力してピッキング作業などを支援し、柔軟な移動ルートを選択できます。一方、AGVはあらかじめ設定されたルートを自動的に往復し、主に搬送作業を自動化する役割を果たします。
AMRの利点は、作業者との協調作業が可能であり、柔軟な環境で活用できることです。AGVは特定の作業を効率化するために設計され、特定のルートに従って動作します。
具体的な事例として、長野計器株式会社では、AMRを導入して検査後の製品の運搬を効率化し、作業者の負担を軽減しました。また、京葉流通倉庫株式会社では、AGVを使ってペット用品のピッキングを自動化し、物流効率を向上させました。株式会社きくや美粧堂では、KeiganALIを用いて工程間搬送を自動化し、業務効率向上を実現しました。