物流ロボットの種類と特徴とは?導入の効果や注意点について解説 | 搬送ロボットガイド
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物流ロボットの種類と特徴とは?導入の効果や注意点について解説
公開:2024.01.27 更新:2024.10.07
物流ロボットは、物流業界で注目の自動化技術です。この記事では、異なる種類の物流ロボット(GTP、AGV、ロボットアーム、AMR)の特徴を紹介し、導入の効果について説明します。物流ロボットの導入により、業務効率化、省人化、ヒューマンエラーの軽減が期待され、コスト削減や作業品質の向上が実現します。
目次
物流ロボットの種類と特徴を紹介
物流ロボットは、作業の効率化を図り、物流業界の労働力不足を解決するものとして注目されています。物流ロボットにはGTP、AGV、ロボットアーム、AMRの4種類があります。それぞれ用途が異なるため、物流ロボットを導入する際は、事前にそれぞれの違いを理解しておくことが大切です。
◇GTP
GTP(Goods To Person)は、”Goods To Person” の頭文字をとった略語で、日本語では「棚搬送型ロボット」や「棚流動型ロボット」とも呼ばれます。これは、倉庫や物流センターなどで使用される特殊なロボットのことです。
通常、倉庫でのピッキング作業では、作業者が製品の棚から製品を取り出し、運搬し、最終的な出荷地点に運びます。しかし、GTPを導入することで、このプロセスが効率的に変わります。GTPロボットは、自動的に製品を選択し、必要な場所に運んでくれるため、作業者が製品を探しに行く必要がありません。
これにより、作業者の移動時間が大幅に削減され、ピッキング作業の効率が向上します。また、高所に保管された製品など、危険な場所での作業もGTPロボットが代行することができ、作業の安全性も向上します。
◇AGV
AGV(Automatic Guided Vehicle)は、「無人搬送車」の略で、工場や倉庫などで搬送作業を自動化するためのロボットを指します。
AGVは、自動で走行するロボットで、車輪がついています。これにより、物品を運ぶために荷物を載せたり、けん引したりすることができます。AGVの大きさや形状は、運ぶもののサイズや用途に合わせて異なり、小さな部品を運ぶ小型のAGVから、大きなコンテナを移動させるための巨大なAGVまでさまざまです。
AGVは、予め設定された経路やマニュアルに従って動作し、通常は特定のレーン内で移動します。しかし、障害物があると停止し、作業が中断されることがあるため、適切な環境設定が必要です。
◇ロボットアーム
垂直多関節と、目の役割をするカメラが搭載されたロボットです。サイズを識別し、異なるサイズでも積み上げられるため、荷物ピッキング工程を完全に自動化することも可能です。自動倉庫とは異なり、製品が変更したり、規模の拡大または縮小したりしても、柔軟に対応できるメリットがあります。
◇AMR
AMR(Autonomous Mobile Robot)は、自律走行型のロボットを指す略称です。これらのロボットは自分自身で走行操作が可能で、加速や停止などの動作を必要に応じて調整できます。特に倉庫内などの環境で、障害物が多い場所での運搬作業に適しています。
AMRは、従来の誘導同行型AGV(Automatic Guided Vehicle)とは異なり、特別な床面工事が不要です。これにより、導入費用が低く抑えられ、倉庫や工場のレイアウト変更にも柔軟に対応できます。 AMRは、自動化された物流や運搬作業を効率化し、作業員の負担を軽減するのに役立つ先進的な技術として広く活用されています。
物流におけるロボット導入で得られる効果
物流ロボットは、大型のマテハンと比較すると、拡張性と柔軟性に優れているため、導入することでさまざまな効果が期待できます。主な効果は、業務の効率化、省人化、ヒューマンエラー予防などです。導入には費用がかかりますが、24時間の稼働が可能で人件費を削減できるため、長期的なコスト削減が実現できます。
◇業務効率化と省人化
物流ロボットが、業務効率化、省人化に効果を発揮する主な理由は、次のふたつです。
作業プロセスの効率化
棚にある製品を取り出して梱包エリアに運ぶ作業に、AMRロボットを導入すると、作業員の移動する動作が省かれます。移動する必要がなくなると、作業効率がアップするだけでなく、作業員はピッキングや検品など重要な仕事に集中できるようになり、作業の質も高められます。
作業スピードの向上
作業員は、能力や体調により作業効率が左右されますが、物流ロボットは常に業務を同じスピードでこなせます。労働時間に縛られず24時間稼働できるため、作業員を最小限に減らすことも可能です。
◇ヒューマンエラーの予防とコスト削減
ヒューマンエラーを予防できる主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
作業の一貫性
人は長時間働くと、集中力が低下したり、正しい判断ができなくなってしまったりするため、人為的ミスをゼロにすることは困難です。一方、物流ロボットは、一貫性に優れ、ダブルチェックが不要で、故障しない限り同じ作業を続けられます。
データ記録機能の搭載
物流ロボットには、タスクを実行させるだけでなく、データを正確に記録させておくことも可能です。品質管理や在庫管理において、データを記録し忘れるリスクも軽減できます。
作業員の人数を減らせば、人件費や、作業服、研修といった作業員にかかる費用も抑えられます。導入費用はかかりますが、物流ロボットを一度導入すれば長く利用できるため、長期的なコスト削減が期待できます。
物流ロボットを導入するために考えたい事
せっかく多額の資金を費やして導入したにもかかわらず、物流ロボットをうまく活用できなかった事例もあります。導入後より多くの効果を得るためには、事前に目的に適した種類を選び、初期費用とランニングコストが予算に合うか検討し、必要に応じてメーカーに直接相談することが必要不可欠です。
◇導入の目的を明確にして種類を決める
どんなに機能性の高い物流ロボットでも、自社に適した物流ロボットでなければ、期待どおりの成果は得られません。最適な物流ロボットの種類を選ぶためには、まずは導入目的を明確にすることが大切です。導入目的が明らかになれば、不必要な機能を搭載することもなくなり、導入費用も最小限に抑えられます。現場での問題点を洗い出し解決策を考えることで、より具体的なシステム構想ができます。
◇初期費用・ランニングコストが予算に合うか
物流ロボットの導入には、ロボット本体の他に、周辺機器、現地立上げ調整費に加え、ランニングコストが必要です。初期費用の目安は、企業の規模や財政状況によって異なりますが、回収期間をもとに考えるのが一般的で、回収期間の目安は2年です。物流ロボット専用のシミュレーションツールを活用すると、用途に適した機種や台数が明確になり、予算も立てやすくなります。
◇導入の相談をするメーカー選びが重要
インターネットでも物流ロボットの情報は収集できますが、直接メーカーに相談すれば詳しい情報が得られるだけでなく、導入のサポートも受けられます。メーカーを選ぶ際の主なポイントは、次の3つです。
実績が豊富なメーカーを選ぶ
社会的信用があり、提案力に優れているので、適切な機種を選びやすいでしょう。
一貫生産体制をとっている
設計から製造までワンストップで対応してもらえるため、やり取りがスムーズです。
複数のメーカー見積もりを依頼する
ホームページには金額が載っていないので、金額を知るためには見積もりを依頼しなくてはいけません。複数のメーカー依頼し、サービスやサポート体制なども比較してメーカーを選ぶことも大切です。
物流ロボットは、物流業界で効率化と労働力不足の解決策として注目されています。主な種類にはGTP、AGV、ロボットアーム、AMRがあり、それぞれ異なる用途と特徴を持っています。導入の際には、目的を明確にし、予算を検討し、信頼性の高いメーカーと相談することが重要です。
物流ロボット導入の主な効果には、業務効率化、省人化、ヒューマンエラー予防があります。これらの効果により、コスト削減や作業品質の向上が期待されます。 また、物流ロボットを導入する際には、適切な種類を選び、予算を考慮し、信頼性のあるメーカーとの協力が不可欠です。導入が成功するためには、事前に計画と戦略を練り、具体的なシステム構想を立てることが重要です。
