周辺システムと連携可能なAMRロボットの導入で生産性向上!物流倉庫の導入事例を紹介 | 搬送ロボットガイド
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周辺システムと連携可能なAMRロボットの導入で生産性向上!物流倉庫の導入事例を紹介
公開:2024.05.27 更新:2024.10.07
AMRは周辺システムと連携可能なロボットとして注目されています。実際の事例を参考にすることで、よりスムーズな導入が可能になるかもしれません。
AMR(自律移動ロボット)は、物流倉庫において生産性向上の鍵となる技術です。WMS(倉庫管理システム)やMES(製造実行システム)と連携することで、リアルタイムなデータ共有や作業効率の向上、柔軟な生産対応が可能になります。物流業界では、個人向け配送の増加と人手不足が深刻な課題となっていますが、AMRの導入によりこれらの課題を解決できるのです。
目次
様々なシステムと連携可能なAMR
AMRは、WMSやMESと連携でき、その効果を最大限に発揮することが可能です。ここでは、WMSとMESの特徴、そしてAMRをこれらのシステムと連携するメリットについて解説します。
◇WMSやMES等のシステムと連携可能
AMRは、倉庫や製造現場での作業を自動化し、効率を向上させるための重要な技術です。特に、WMSやMESとの連携により、AMRはより効果的に運用できます。
WMSやMESと連携することによる良い点は以下の通りです。
・リアルタイムなデータ共有
AMRが作業を行う中で収集したデータを、リアルタイムでWMSやMESに送信できる。
・作業効率の向上
WMSからの指示に基づいてAMRが自動的に商品をピッキングし、指定された場所に運べる。
・柔軟な生産対応
MESと連携することで、製造ラインの変動や注文に迅速に対応し、必要なアイテムを適切に供給できる。
◇WMSとMESについて
WMS(倉庫管理システム)は、倉庫内の在庫管理や入出庫作業を最適化するためのシステムです。主な機能には、在庫追跡、ロケーション管理、ピッキング作業の指示、出荷準備、レポート生成などが含まれます。
また、MES(製造実行システム)は、製造現場の作業をリアルタイムで管理・実行するシステムです。生産計画の実行、品質管理、設備の稼働状況の監視などを行います。
搬送ロボット導入の際の懸念点
AMRの導入には多くのメリットがありますが、一方でいくつかポイントに注意が必要です。ここでは、現在の物流業界が直面している課題とAMR導入に関する懸念点について見ていきます。
◇増加する物流のニーズと課題
物流業界が現在直面している大きな課題は、個人向け配送の急増と人手不足です。現在、オンラインショッピングの普及によって小口配送が増加し、業務負担が増えています。しかし一方で、少子化による労働人口の減少で人材確保が難しくなっているのです。その結果、長時間労働が常態化し、既存の労働者の負担が増大しています。
また、運送ドライバーの高齢化も深刻な問題です。若い労働力が減少する中、年齢層の高い既存の労働者への肉体的負担が増加し、さらなる長時間労働を強いられるという悪循環が生じています。
◇搬送ロボット導入の際の懸念点
AMRの懸念点として挙げられるのは、稼働を止めることが難しい点です。多くの物流施設は24時間体制で稼働しているため、ロボットの導入やシステム変更のために長時間の停止することが許されない状況にあります。そのため、導入プロセスをどう調整するかが大きな課題です。
既存の業務フローをロボットに合わせて変更する必要がありますが、これには従業員の配置転換や再教育も必要になります。
例として、株式会社アスクル株式会社では、物流センターにAMRの導入を検討していました。しかし、24時間稼働しなければならない点や、設備のレイアウトの大幅な変更は難しいことから、適切なAMR選びに難航していたのです。
シミュレーションとOJTなどでスムーズな導入を可能にした事例
AMRの導入時のシミュレーションは、効果的かつ安全にAMRを導入するための重要なステップであり、導入後の成功を左右する要素です。以下では、シミュレーションを行うことで明らかになるポイントや、シミュレーションを経た導入事例を紹介します。
◇シミュレーションで分かることは?
・ロボットの動きを把握できる
シミュレーションを行うことで、ロボットの動きを詳細に把握できます。また、シミュレーションを通して、ロボットの経路や稼働パターンを最適化し、障害物や混雑を避けるための最適なルートの設計が可能です。
・適切な導入台数を導き出せる
シミュレーションの活用で、必要となるAMRの台数を正確に算出できます。これは、業務のピーク時や通常時の荷物の量、作業の流れをもとに、最適なロボットの数を計算するものです。不足のない台数を導き出すことで、投資コストの最小化と効率的な運用を両立できます。
・生産性やコスト削減を計算できる
作業時間の短縮、エラーの減少、人件費の削減などの具体的な数値も、シミュレーションで計算できます。
◇段階的な導入とOJTでスムーズに導入を実現
株式会社アスクルでは、事前のシミュレーションを何度も行ったことで、大きなロケーションの変更なくAMRのスムーズな導入を実現しています。既存のWMSとの連携テストや、稼働前の従業員のトレーニング(OJT)の実施など、段階的な導入で計画を進めた点がポイントです。
AMR導入の効果は?運用にあたって工夫した点
株式会社アスクルでのAMR導入の効果と、運用における独自の工夫について紹介します。
◇トラッキング機能で渋滞回避
株式会社アスクルでのAMR運用の特徴は、トラッキング機能を最大限に活用している点です。トラッキング機能によって、個々の従業員の作業実績を把握でき、収集したデータを活かして生産性向上やヒューマンエラーの低減を促進しています。
さらに、導入したラピュタPA-AMRに搭載されている「その場でピッキング作業ができるモード」も活用し、AMRが渋滞している状態でもその場で作業できるようにし、従業員の手待ちが起こらない工夫も取り入れているのです。
◇AMR導入の効果
株式会社アスクルでは、AMRの導入後4か月で、当初目的としていた生産性の向上を達成しています。また今後、同様の工場(主に台車とハンディでピッキングしている工場など)にて、ラピュタPA-AMRを導入予定です。
AMR(自律移動ロボット)は、WMS(倉庫管理システム)やMES(製造実行システム)と連携することで、効率的な運用が可能です。WMSは在庫管理や出荷準備を最適化し、MESは製造現場のリアルタイム管理を行います。AMRがこれらと連携することで、リアルタイムなデータ共有や作業効率の向上、柔軟な生産対応の実現が可能です。
現在の物流業界では、個人向け配送の急増と人手不足が課題とされているため、AMRの導入を検討する企業も少なくありません。しかしAMRの導入には、稼働停止が難しい点や業務フローの変更、従業員の再教育が必要であることなどの課題があります。
実際にAMRを導入に成功した事例である株式会社アスクルでは、シミュレーションとOJTを活用し、段階的なAMR導入を叶えました。導入後はトラッキング機能を活用し、渋滞回避や作業効率を向上させています。その結果、導入後4か月で生産性向上を達成し、現在では他の工場でもAMRの導入を検討しているのです。
