様々な分野で活躍するAMR！農業の事例とロボット活用に対する課題 | 搬送ロボットガイド

農業におけるAMRの活用が注目されています。AMRは農地の監視や除草作業などを自動化し、作業効率の向上と労働者の負担軽減に貢献しています。しかし、導入コストや技術の確保といった課題もあります。将来的にはスマート農業の推進により、AMRを含むロボット技術の普及が進み、生産性の向上や労働力不足の解消に貢献すると期待されます。

様々な分野で活躍するAMR

AMR（自律移動ロボット）は、産業において幅広く利用されています。物流や製造業では自動化された作業を助け、農業や医療分野でも活用されています。これにより作業効率が向上し、作業員の負担が軽減されます。また、労働コストや人的ミスの削減、エネルギーの節約など多くの利点があり、企業にとって有益な選択肢となっています。

◇AMRの様々な産業用途

AMRは周囲の環境を把握しながら、自律的に移動できるロボットのことです。産業用途は非常に幅広く、物流・倉庫管理や製造業はもちろんのこと、農業や商業施設、医療・ヘルスケア分野などで活用されています。また、銀行やホテルなどのサービス業でもAMRが活躍しています。

物流・倉庫管理の分野では、AMRは倉庫内での荷物の移動やピッキング作業の自動化を促進するために利用されています。製造業においては、工場内での部品や製品を運搬するだけではなく、検査や組み立てなどといった作業にもAMRが使用されています。

また、農業においては、作物の収穫、植物の監視、さらに農地の管理などにAMRを使用しています。医療施設でもAMRの導入率は高く、病院や医療施設では、AMRが薬品や医療機器の搬送を行ったり、廃棄物の処理、患者のモニタリングなどを行ったりしています。

この他、店舗やオフィスビル、商業施設などでは、AMRがただ単に物品を搬送するだけではなくて、清掃やセキュリティパトロールなどにも利用されています。

◇多くの産業がAMRを採用する理由

AMRを導入することによって作業効率が向上し、仕事の精度が上がると同時に、作業員の負担が軽減されるというメリットがあります。重作業もAMRに任せることによって作業員の安全性も向上し、ひいては人手不足の解消にもつながります。

もちろん、AMRの導入によって労働コストや人的ミスによるコストも削減されますので、利益の向上を図るにはAMRは最適な選択肢の一つといえるでしょう。

また、効率が向上することにより、エネルギーや資源の使用量が削減される場合もあり、作業時間が短縮されるのもAMRのメリットの一つです。

農業分野で活躍するAMRの事例

最新のテクノロジーを駆使したAMRは、農業の分野でも活躍しています。農地の見回りや除草作業など、これまで完全な手仕事だった分野でもAMRの活躍はめざましく、高齢化や人手不足に悩む農家の大きな助けとなっています。

◇農地の見回り負担軽減

ロボット技術などを活用した、いわゆる「スマート農業」は農業労働力の負担を軽減し、生産性を向上させる手段として国内各地で注目を浴びています。

例えば、農地の監視・管理にAMRを利用することによって、センサーやカメラを使用し、土壌や作物の状態を遠隔でモニタリングできます。作物の成長状況および病気の発生などを監視カメラでいち早く捉え、農業生産性を向上します。

横浜市では、見回り軽減のためのVR・IoT・ロボットを活用した「VR×IoT×AMRの未来農園」と「IoTによる鳥獣被害対策、不法投棄・盗難対策通知」の2つの実証実験を2023年8月からスタートさせており、今後の成果が期待されています。

◇高齢化や人出不足に対応

農業に無人搬送車を導入することによって、高齢の労働者の重労働が大幅に軽減することもAMRの役目の一つです。

さまざまな作業に対応できる柔軟性を持っているため、作業量の増減や季節の変化にも迅速に対応することができ、人手不足の対処法としても最適です。

人間に自動追従する「テザー」と呼ばれる機能が備えられているAMRもあり、作業者は重い作物を持たずに楽に収穫・移動ができます。

◇除草作業にも対応

農業の煩雑な作業の一つである除草作業にも、AMRは対応しています。AMRに踏圧機を装着することによって簡単に除草が行えるため、夏の暑い盛りの除草などといった重労働も任せることができます。

AMRを含むロボットの更なる実用化に向けた課題と将来性

AMRの実用化には高い導入コストなどの課題があります。農業では高齢化と人手不足が進み、ロボット技術の活用が求められています。政府はスマート農業の推進を目指し、2025年までにデータ活用を進める方針ですが、導入コストや技術者の確保が課題となっています。

◇実用化に向けた課題

炎天下で作業しているAMRの接合部が熱で溶けてしまう、あるいは導入コストが高価で一般の農家には手が出ないなど、AMRは実用化に向けさまざまな課題があります。もともと自動化されている部分が多い産業とは違い、農業を完全自動化するというのは非常に難しい作業といえます。

◇農業におけるAMRを含むロボットの将来性

農業従事者の平均年齢は年々上がっており、65歳以上が占める割合は全体の70％を超えています。さらに人手不足も深刻で、将来的には高齢化と人手不足に対応したロボット技術を実用化する必要があります。

農林水産省では2025年を目処に、農業の担い手のほぼ全員がデータを活用した農業を実践するという政策目標を掲げています。国ぐるみで農業分野でのロボット利用によるスマート農業化が進められており、今後はドローンや人工衛星なども活用した農業が推進される見込みです。

また、技術が進歩する一方でAIを使いこなせる作業者も必要です。多額の導入コスト、およびAIを使いこなせる作業者の確保が課題です。

農業でもAMR（自律移動ロボット）の活用が進んでいます。AMRは農地の見回りや除草作業など、従来は手作業が主だった作業を自動化し、作業効率の向上と労働者の負担軽減に貢献しています。

特に高齢化や人手不足が深刻化する中で、AMRの導入は農業生産性の向上と持続可能な農業の実現に向けた重要な手段として期待されています。

AMRを活用した農業では、農地の監視や管理を効率化するためにセンサーやカメラを搭載したAMRが導入されています。これにより、作物の成長状況や病害虫の発生などをリアルタイムでモニタリングし、早期に対処することが可能となっています。

また、除草作業においてもAMRを活用することで、従来の農薬散布に頼らずとも効果的な除草が可能となり、環境への負荷も軽減されます。

一方で、AMRの実用化にはいくつかの課題があります。例えば、導入コストの高さや技術者の確保、炎天下での作業時における機器の耐久性などが挙げられます。これらの課題を克服するためには、産業界や政府の支援が必要です。

将来的には、スマート農業の推進や農業ICT化の進展に伴い、AMRを含むロボット技術の普及が一層進むと見込まれています。農業分野におけるデジタル技術の活用が進めば、生産性の向上や労働力不足の解消、さらには環境への負荷軽減といった多くの利点がもたらされることが期待されます。