AMR(自律走行搬送ロボット)の特徴!導入の利点と注意点とは | 搬送ロボットガイド
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AMR(自律走行搬送ロボット)の特徴!導入の利点と注意点とは
公開:2024.02.26 更新:2024.10.07
AMRはAGVとは異なり、自ら考え判断し、自由自在に走行できます。障害物や作業員を回避できるため、人との協業が可能です。導入には初期導入費用やランニングコストの確認が欠かせません。安全性や事故発生時の責任の明確化、技術者の確保と信頼性のある保守メーカーの選定も重要です。
目次
AMR(自律走行搬送ロボット)の特徴
AMR(自律走行搬送ロボット)はAGVと同様に荷物の搬送に使うものですが、AGVは決まったルートを移動するのに対し、AMRは地図の自動作成機能により自ら考え判断し自由自在に走行できます。障害物や作業員を回避できるため、人との協業できるのが特徴です。
◇人との協業が可能なロボット
AMR(Autonomous Mobile Robot)は自律走行搬送ロボットのことで、荷物の搬送に使うものです。今までのロボットは、作業員が指示する作業やプログラミングした動作しかできないため、作業員とロボットは分業するのが通常でした。
しかし、AMRには地図の自動作成機能が搭載されていて、障害物や作業員を回避できるため、人との協業が可能です。協働型搬送ロボットともいわれ、倉庫や製造現場では作業員が商品を取り出し、AMRが運搬を引き継ぐといった使い方がされています。
◇AGVでできること
AGV(Automatic Guided Vehicle)は無人搬送車のことで、特定の区間で決められたルートを走行し、荷物を運搬します。AMRのように人との協業はできませんが、スピードが求められる製造現場には適しているロボットです。
◇AMRとAGVの主な違い
AMRとAGVの主な違いは走行の仕方と導入・運用のしやすさにあります。
AGVは磁気テープやランドマークなどの誘導体が必要で、あらかじめ決められたルートを走行します。
一方、AMRは地図の自動作成機能を利用し、最短ルートを探索し自由に走行可能です。また、AMRは走行させたくないエリアを交通情報として登録し、導入やレイアウト変更が容易です。
AGVは物理ガイドインフラを構築し、メンテナンスやレイアウト変更時にガイドを再設定する必要があります。AMRは柔軟性と効率性が高く、運用が簡単です。
自律走行搬送ロボット導入で得られる効果
自律走行搬送ロボットは動作環境の変化に対応でき、ティーチングが不要なため、レイアウトを変えても業務に支障が出づらいのがメリットです。人との協業がスムーズに行えるので、自律走行搬送ロボットを導入すれば作業の効率化と経費削減が実現できます。
◇動作環境の変化に対応できティーチングが不要
倉庫や製造現場では、作業員や設備の配置変更に伴い、動作環境やレイアウトも変わります。そのため、産業ロボットを導入している場合は、その都度ロボットに新しい動作を教えなくてはいけません。
このことをティーチングといいますが、ティーチングをしている間、作業が中断してしまいます。自律走行搬送ロボットは、動作環境の変化に対応できティーチングも不要なため、業務に支障が出る心配がありません。
◇人との協業がスムーズに行える
AGVは決まった動きしかできないため、不規則な動きをする作業員とは協業できません。自律走行搬送ロボットは、障害物や作業員の近くにいると、別のルートを探索して作業を継続できるため、人との協業がスムーズに行えます。
ただし、自律走行搬送ロボットでも、作業員との接触事故が起こる可能性はあるため注意が必要です。
◇人の作業と経費の削減
自律走行搬送ロボットを導入し荷物の搬送を任せることで、作業量が減ります。作業員の人数を減らせるため、経費を削減できます。作業員が夜間働くと夜間手当が発生しますが、自律走行搬送ロボットであれば24時間稼働させることも可能です。
◇作業の効率化
作業員は体調や長時間労働により集中力が低下し、作業効率が下がることがあります。自律走行搬送ロボットは体調や労働時間に関係なく、一定の作業スピードを維持し稼働させられることもメリットです。
AMR導入の際に注意するべき点とは
AMRの導入には多額の費用がかかるため、経費削減を実現させるためには、初期導入費用とランニングコストを確認しておくことが重要です。安全性の高いAMRを信頼できるメーカーから購入すると、事故のリスクを低減でき、故障したときに迅速に対応してもらえます。
◇初期導入費用およびランニングコストの確認
AMRの導入にかかる主な費用は、本体購入費用とネット回線の構築費用です。ロボット本体価格は数百万から数千万円で、300万円のAMRを10台購入すればそれだけでも3,000万円かかります。導入後は電気代と、AMRが故障した際の修理費用も必要です。
経費削減が図れるため、運用することで初期導入費用は回収できますが、初期導入費用が高すぎると、回収に時間がかかり経費削減を実現できません。導入する際は、初期導入費用とランニングコストを確認し、初期導入費用の回収期間を考慮して検討することが大切です。
◇安全性と事故発生時の責任の明確化
AMRは、2014年に発行された国際安全規格「ISO 13482」に沿ってAMRを開発することとなっています。しかし、「ISO 13482」はやや古いため、作業員に配慮した交通インフラの整備が求められます。
作業現場での事故を防ぐために、AMRが接触した際に自動停止する圧⼒検知⽤バンパ、障害物を検知できるレーザスキャナ、安全機器、警報などさまざまな機能があるため、購入する際は安全性と機能性を確認することも大事です。
AMRによる事故の責任の所在がまだ明確になっていないため、導入する際は作業員の役割と事故発生時の責任を明確化しておく必要もあります。
◇技術者の確保と信頼感のある保守メーカーの確認
環境を理解でき作業員の行動や認識を洞察できる技術者を確保すると、AMRを安全に運用できます。AMRに不具合が生じると作業に支障をきたしますが、アフターサービスが充実していて信頼感のあるメーカーを選んでおけば、いざというときに迅速に対応してもらえます。
アフターサービスを確認する際は、保証期間、修理費用(有償か無償)、連絡方法(メールか電話)など細かくチェックしておきましょう。
自律走行搬送ロボット(AMR)の特徴は、AGVと異なり自ら考え判断し、自由自在に走行できる点です。AMRは障害物や作業員を回避できるため、人との協業が可能であり、倉庫や製造現場で効果的に活用されています。一方、AGVは特定のルートを走行し、作業員の指示に従うため、柔軟性に欠ける面があります。
AMRの導入には初期導入費用やランニングコストの確認が欠かせません。高額な投資が必要であるため、経費削減や効率化を図るためには慎重な検討が必要です。安全性や事故発生時の責任の明確化、技術者の確保と信頼性のある保守メーカーの選定も重要です。経費削減や業務効率化を目指す企業にとって、AMRの導入は有益であり、適切な選択と運用が求められます。
