頻発する手荷物トラブルを解決する空港におけるAMRの導入実験 | 搬送ロボットガイド

航空業界は新型コロナウイルスパンデミックにより大きな打撃を受けましたが、ワクチン普及や規制緩和により回復の兆しが見られます。特に国内線では利用者数が急増し、運航便数も増加しています。

一方で国際線では入国制限の影響で需要が伸び悩んでおり、ビジネス旅行や観光旅行の完全な回復には時間がかかるという現状です。

手荷物の自動化による処理効率化も進み、トーヨーカネツの自動手荷物保管システムや自動運転技術の導入により、空港の運用効率が向上しています。

コロナ後に回復傾向を見せる航空業界

新型コロナウイルスのパンデミックは、航空業界に大きな打撃を与えました。多くの国がロックダウンを実施し、国際線および国内線の運航が大幅に制限されたのは記憶に新しいでしょう。

ロックダウンの影響により、航空会社は運航停止や人員削減を余儀なくされ、業界全体の利用者数は劇的に減少しました。しかし、ワクチンの普及や各国での規制緩和が進むにつれ、航空業界は徐々に回復傾向を見せています。

◇コロナ後に大きく回復

国内線においては、特に顕著な回復が見られます。多くの国で旅行制限が緩和され、人々が再び自由に国内旅行を楽しむようになりました。これにより、航空会社の国内線利用者数は急速に増加し、パンデミック前の水準に近づいています。

さらに、ビジネス需要も徐々に戻りつつあり、企業による出張の再開が国内線の回復を後押ししました。航空会社は、需要の増加に応じて運航便数を増やし、新しいサービスや路線を導入するなどさらなる成長が期待されます。

◇国際線の回復はこれから

一方で、国際線の回復はまだ道半ばといえます。多くの国で入国制限が依然として厳しく、旅行者は複雑な手続きや検疫措置に直面しています。

入国制限があることを受けて、国際線の需要は伸び悩んでおり、ビジネス旅行においては、リモートワークやオンライン会議の普及により、以前ほどの需要が見込まれていません。

一方、観光目的の国際旅行も、旅行先での感染リスクや帰国後の隔離措置を懸念する声が多く、完全な回復には至っていないのが現状です。

しかし、徐々に国際線の需要も増加しつつあります。一部の国では、ワクチン接種者に対する入国緩和措置を導入し、観光産業の回復を図っています。国際線の利用促進に努めており、新しい観光地のプロモーションや特別運賃の提供などを計画することで、今後の需要の増加を狙っています。

手間のかかる手荷物の扱い～問題も発生

航空旅行において、手荷物の扱いは非常に重要なプロセスの一部です。乗客が手荷物を預けてから目的地に届くまでの流れには、多くのステップと関係者が関与します。

しかし、手荷物の扱いに関する問題も時折発生しており、近年では関西国際空港で職員が手荷物を投げる問題が話題になりました。

◇手荷物が飛行機に運ばれるまで

手荷物が飛行機に運ばれるまでには、複数のステップを経ることが必要です。乗客がチェックインカウンターで手荷物を預けると、手荷物にはタグが付けられ、目的地と乗客の情報が記録されます。

次に、預けられた手荷物はベルトコンベアを通じて、空港の手荷物処理システムに運ばれ、X線検査やその他のセキュリティチェックをしなければなりません。

検査をクリアした手荷物は、自動仕分け装置によってフライトごとのコンテナに振り分けられ、手荷物運搬車に積み込まれた後飛行機の貨物室へと運ばれます。

貨物室に到着した手荷物は、専任の地上スタッフによって飛行機に積み込まれ、全ての手荷物が積み込まれると、飛行機は離陸準備を整え、目的地へと向かうことが可能です。

◇職員が荷物を投げて問題にも

手荷物の取り扱いには慎重さが求められますが、時には不適切な扱いが問題となることがあります。関西国際空港では、手荷物を扱う職員が手荷物を投げる様子がSNSで広まり、手荷物を投げる行為が批判を浴びました。

関西国際空港は当該職員に対する処分や再教育を実施しただけではなく、空港全体で手荷物の取り扱いに関するガイドラインを見直し、再発防止策を講じることとなりました。

AMRによる自動手荷物保管システム

トーヨーカネツは、空港の検査をスムーズ化するために、自動手荷物保管システムの実証実験を進めています。自動手荷物保管システムでは、AMR（Autonomous Mobile Robots）を活用し、手荷物の自動搬送と保管が実現できました。

◇トーヨーカネツによる実証実験

トーヨーカネツが実施する自動手荷物保管システムの実証実験では、AMRが手荷物を自動で搬送し、指定された保管エリアに正確に収納します。乗客が手荷物を預けると、手荷物はバーコードやRFIDタグを用いて識別され、AMRによって搬送されます。

AMRは、センサーやカメラを駆使して周囲の環境を把握し、最適な経路を選択して手荷物を運ぶことが可能です。AMRにより作業は自動化されており、人間の介入を最小限に抑えつつ、効率的で迅速な手荷物処理を実現しています。

自動手荷物保管システムにより、手荷物の搬送時間が大幅に短縮され、空港全体の運用効率が向上します。また、AMRは高精度な位置決めが可能なため、手荷物の紛失や取り違えのリスクも減少させることが可能です。

◇ベルトコンベヤなどさまざまな設備を供給

トーヨーカネツは、自動手荷物保管システム以外にも、空港関連のさまざまな設備を供給しています。例えば、手荷物の搬送に不可欠なベルトコンベヤシステムもそのひとつです。

ベルトコンベヤシステムは、手荷物の流れを最適化し、混雑や滞留を防ぐために設計されており、手荷物を迅速かつ安全に搬送するための基本的なインフラと言えます。

ほかにも、手荷物のX線検査装置やセキュリティチェック用の機器も提供しており、空港のセキュリティ強化に貢献しています。

自動運転技術と連携して更なる効率化へ

近年、空港の手荷物処理の効率化と自動化が進んでいます。手荷物処理の自動化には自動運転技術の活用が大きく貢献しており、手荷物積み付けロボットや自動運転トーイングトラクターなどが活躍しています。

◇手荷物積み付けロボット

手荷物積み付けロボットは、手荷物を自動的に認識し、適切な位置に積み付ける機能を備えたロボットです。

手荷物が空港に到着すると、ロボットは手荷物のタグ情報を読み取り、重量やサイズを自動で測定します。次に、ロボットは重量やサイズを基にして、最適な積み付けパターンを計算し、限られたスペースを最大限に活用し、手荷物を効率的に積み込みます。

手荷物積み付けロボットの導入により、人間が手作業で行っていた手荷物の積み付け作業が大幅に自動化されます。結果として、作業時間の短縮と労働力の削減が実現されるだけでなく、手荷物の破損リスクも軽減され、空港の運用効率が大幅な向上が可能です。

◇自動運転トーイングトラクター

自動運転トーイングトラクターは、空港内で手荷物や貨物を運搬するための無人運転車両です。自動運転技術を活用して、空港内の決められたルートを自律的に走行し、手荷物や貨物を所定の場所へ迅速かつ安全に運搬します。

自動運転トーイングトラクターは、高精度のGPSやLIDARセンサー、カメラなどを搭載しており、周囲の環境をリアルタイムで認識することで安全な走行が可能です。また、空港の運行管理システムと連携することで、トラクターは最適なルートを選択し、渋滞を避けられます。

これにより、手荷物や貨物の運搬時間が短縮され、空港の全体的な運用効率が向上します。

新型コロナウイルスパンデミックは航空業界に大きな影響を与えましたが、最近ではワクチンの普及と規制の緩和により、業界全体が回復の兆しを見せています。特に国内線では、多くの国で旅行制限が緩和され、人々が再び国内旅行を楽しむようになっています。

この動きに伴い、航空会社の国内線利用者数は急速に増加し、パンデミック前の水準に近づいています。さらに、ビジネス需要の回復も見られ、企業の出張再開が国内線の活況を後押ししています。

航空業界の変化に伴い、手荷物の管理と処理の効率化も進んでいます。トーヨーカネツが導入した自動手荷物保管システムや自動運転技術を活用した装置は、空港の手荷物処理を劇的に改善しました。

これにより、手荷物の取り扱い時間が短縮され、空港全体の運用効率が向上しました。今後も技術革新が進み、航空業界の回復と効率化に寄与することが期待されています。