【PR】搬送ロボットガイド

搬送ロボットガイド

モバイルマニピュレータでより人に近いロボットの実現へ!普及に向けた課題と可能性 | 搬送ロボットガイド

AMR

モバイルマニピュレータでより人に近いロボットの実現へ!普及に向けた課題と可能性

AMR

公開:2024.05.29 更新:2024.10.07

画像出典:フォトAC

モバイルマニピュレータは移動型ロボットに機械アームを組み合わせたもので、物流や製造業の人手不足解決が期待されますが、普及にはスケジューリングや協調制御の複雑さ、技術的課題、高コストが障壁です。利点は柔軟な移動と自動化で、技術進化によるコスト削減が普及の鍵です。

モバイルマニピュレータとは?アームを搭載したAMRの利点

モバイルマニピュレータは、部材の搬送や作業自動化が可能で、人手不足に対応できますが、スケジューリングや協調制御が複雑です。技術的な課題や高コストが普及の障壁となっています。

◇モバイルマニピュレータとは

モバイルマニピュレータは、移動できるロボット(AMR)に機械アームを組み合わせたロボットです。これにより、AMRが物を移動させるだけでなく、物をつかんだり操作したりする複雑な作業も1台で行えます。この技術は、物流や製造業の人手不足の解決策として注目されています。

◇モバイルマニピュレータの利点

モバイルマニピュレータの主な利点は、柔軟性と自動化能力です。従来の固定式ロボットアームに対して、AGVやAMRの移動能力が加わることで、作業エリアが大幅に拡大し、1台のロボットで多くの作業を行えるようになります。

作業環境が変わると、モバイルマニピュレータは自動的に移動して作業位置を最適化できます。これにより、異なる作業ステーションでのタスクも1台でこなせ、設備投資の削減にもつながります。

また、モバイルマニピュレータは複数のタスクを自動で連携して実行できるため、全体の作業効率が向上します。さらに、24時間体制で稼働できるため、生産性も高まります。

重たい物の運搬や精密な作業をロボットが担うことで、作業中の事故やけがのリスクが低減し、安全性も確保されます。

精度や費用対効果などの課題

モバイルマニピュレータは、部材搬送や作業の自動化に優れていますが、スケジューリングや協調制御が複雑で、普及には速度や精度、コスト、技術標準化の課題があります。

◇人手不足の対応策としても期待

モバイルマニピュレータは、単に部材を搬送するだけでなく、装置に部材を投入したり工具を交換したり、届けた後の作業も自動化できるという利点があります。一方で、シンプルな搬送だけであれば、協働ロボットを固定してAGVを周回させる方が簡単です。

モバイルマニピュレータの強みは、複数の場所や装置を巡回する際に発揮されますが、スケジューリングや連携機器との協調制御が複雑になるという課題があります。モバイルマニピュレータは、これらの課題を克服しながら製造現場での人手不足に対応するための重要な解決策として期待されています。

◇普及に向けた課題

モバイルマニピュレータの普及に向けた技術的な課題として、速度が遅い問題や精度と信頼性の確保が挙げられます。作業の対象物を適切に選択できるのか、作業の精度や信頼性には常に気をつけなければいけません。

また、AGVやAMRの位置ずれや移動中の障害物回避などの問題が起きる可能性があるため、解決するためには、高度なセンサー技術と制御システムが必要です。

そのため、導入コストが高いことも普及の障壁となっています。現在のところ、モバイルマニピュレータの価格は約1000万円以上がかかり、人手不足に悩む多くの中小企業にとっては負担が大きいです。

さらに、技術の統合と標準化も課題です。さまざまなメーカーの機器やシステムが協調して動作するためには、インターフェースの標準化やプロトコルの統一が求められます。

低価格化の可能性は?実用化に向けて進められる様々な取り組み

AGVやAMRの価格が低下し、中小企業でも導入が進んでいます。センサー技術や製造効率の向上により、コスト削減と性能向上が実現されています。また、協働ロボットでAGVの位置ずれを補正する技術も進化し、精度が向上しています。

◇低価格化が進むAGVやAMR

近年、AGVやAMRの低価格化が進んでいます。コストダウンの原因は、センサー技術の進化や製造プロセスの効率化と競争の激化です。競争に生き残るため、各企業は価格を抑えつつも性能を向上させる努力を続けています。

低価格化が進むことで、これまで導入を躊躇していた中小企業でもAGVやAMRの利用、ひいてはモバイルマニピュレータの導入機会が増えていると考えられているのです。

◇AGVの位置ずれを協働ロボの手元計測で補正

AGVの位置ずれは、精度の高い作業を行う際の大きな課題ですが、協働ロボットの手元計測技術を利用することで、この問題を効果的に解決できます。具体的には、AGVが目的地に到着した際に、協働ロボットの手元に装備されたセンサーが位置を再計測し、正確な位置に修正するのです。

とある企業では、実際にこの技術を活用し、数cmの位置ずれを補正、工作機械へのワーク投入の精度を向上させています。また、技術の進化により、これまで高額だった3Dセンサーの価格も低下しているため、導入コストの削減にもつながっているのです。

このように、AGVと協働ロボットの組み合わせにより、精度と効率の高い作業が可能となり、モバイルマニピュレータの普及が進んでいます。企業はこれを活用することで、より柔軟で効率的な生産体制を構築することができるでしょう。

クリーンルームでのモバイルマニピュレータ導入事例

ciRoboticsは医療機器メーカーのクリーンルームにモバイルマニピュレータを導入しましたが、限られたスペースや人との共存が課題でした。最適化された機器配置と精密なプログラムにより問題を解決し、柔軟な運用が可能となりました。

◇導入前の課題

ciRobotics株式会社は、モバイルマニピュレータをある医療機器メーカーのクリーンルームに導入しましたが、導入前にはいくつかの課題がありました。

・人が使っている検査機器を使うため、モバイルマニピュレータの配置を考えなければならない。
・人が行き来する環境なので、モバイルマニピュレータ上のアームを、作業空間として腕を広げる動作ができない。
・作業スペースが限られている。

◇導入後に苦労した点と解決策

モバイルマニピュレータの導入後、導入前に挙げられていた課題解決に苦労しました。特に、クリーンルーム内の限られたスペースでロボットが効率的に動作する設計が難しかったと語られています。しかし、機器の配置を最適化し、ロボットの動作パターンを精密にプログラムして、この問題を解決しました。

さらに、エッジ側のロボットと上位システムの役割分担を明確にし、作業指示の柔軟性を確保したため、システム全体の負荷を軽減し、複数台のロボット運用にも対応できるようになったのです。

◇作業の切り分けが重要

モバイルマニピュレータの運用においては、作業の切り分けが重要です。基本的な動作をロボット側でプログラムし、上位システムが作業現場のデータを基に動作を指示する形にすることで、システム全体の柔軟性と効率性が向上します。

また、導入時には、モバイルマニピュレータ1台は0.5人分の役割とし、人では好ましくない作業は何かを考え、より作業を楽にしていけるように割り当てるのが適切です。


モバイルマニピュレータは、移動型ロボット(AMR)に機械アームを組み合わせたもので、部材の搬送や作業自動化に対応します。これにより、物流や製造業での人手不足解決が期待されますが、スケジューリングや協調制御の複雑さ、技術的な課題、そして高コストが普及の障壁となっています。

利点として、柔軟な移動と複数の作業の自動化があり、作業エリアの拡大や効率化が可能です。クリーンルーム導入事例では、限られたスペースと人との共存が課題でしたが、機器配置の最適化と精密なプログラムで解決し、柔軟な運用が実現されました。

普及には技術標準化やコスト削減が鍵となります。センサー技術の進化や協働ロボットの活用で、コスト削減と精度向上が進んでいます。